単独OS作成は、男の献身と情熱の証し

このようなデイビス氏のマイナス評価にもかかわらず、TempleOSはおおむね好評でした。それは多くの人が彼の情熱を認めたからに他なりません。

デイビス氏はこのOSを開発するために10万行を超えるコードをたった1人で書きあげました。

そのため彼のファンはデイビス氏を「プログラミングの伝説」と称し、また別のファンはTempleOSを1人で作り上げることを「超高層ビルを1人で建てる」ことと比較しています。

TechRepublicにレビューを掲載したジェームズ・サンダース氏は、「TempleOSは、技術力を発揮したひとりの男の献身と情熱の証です。それ以上のものは必要ありません」とさえ述べています。

またデイビス氏と対談したエンジニアによると、「デイビス氏の病気が無ければ、彼はスティーブ・ジョブスだった」とのこと。

統合失調患者が生み出した独創的なOS
(画像=ホームレス時代のデイビス氏/Credit:Terry_A._Davis/wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

OS作成に関しては高い評価を得ていたデイビス氏ですが、創造性が制限されることを理由に治療薬の服用をやめ、統合失調の症状に苦しみ続けました。

最終的にはホームレス生活を送ることになり、2018年8月の夜、電車に轢かれてしまい亡くなったのです。

デイビス氏は、統合失調症に苦しみながらも負けずに情熱を注ぎ続けた人として、今でも多くの人に記憶されています。


参考文献

wikipedia


提供元・ナゾロジー

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