Point
- 人形を「左」に抱く子の方が、社会的なスキルを測る課題の成績がよかった
- 左目の情報は交差して右脳に向かい、右脳の中では「人の表情」に関る情報が処理されている
- 人形を「左」に抱く子は、無意識的に「人の表情」に注意を払っていると考えられ、それが社会的スキルの向上につながっていると思われる
あなたは赤ちゃんや人形を左腕に寄せて抱きますか?それとも右腕?
ロンドン大学の最新研究により、人形を「左腕に寄せて抱く子ども」の方が、右腕に寄せて抱く子に比べて高い社会的スキルを示すことがわかりました。
The left cradling bias: An evolutionary facilitator of social cognition?
この実験にはおよそ100人の4-5歳の子どもが参加。子どもたちは、「顔の描かれた枕」や「赤ちゃん人形」を抱きかかえましたが、右腕に寄せるか左腕に寄せるかは、その利き手に関係がありませんでした。
そして、人形を「左腕」に寄せた子どもの方が、「右腕」に寄せた子どもに比べて、後に研究者が与えた社会性や精神性を測るタスクの成績がよかったことが明らかになったのです。
なぜこのようなことが起こるのでしょう?それは、どうやら私たちの「脳」と「視覚情報」に関係があるようです。
私たちの「目」と「脳」をつなぐ神経ネットワークは交差しています。つまり、「左の目」から得られた視覚情報は「右脳」で処理されるということです。そして、人の「表情」に関わる情報は「右脳」で処理されており、そのため人は自分の「左側」に相手を置いて、その表情の情報を多く得ようとすることがわかっています。
つまり、人形を左側に抱く子どもはその事実を無意識的に知っており、社会活動において重要な「相手の表情を読み取る」といったスキルに長けていると考えられるのです。
実は、多くの母親はこの事実を本能的に知っています。生後間もない子どもをもつ約80%もの母親が、赤ちゃんを「左側」に抱くとされており、赤ちゃんの表情からできるだけ多くの情報を得ようとしていることがわかります。
さらに、その傾向は人間界だけにとどまりません。猿やゴリラやコウモリにおいても同じ現象が確認されているのです。
かつては「利き腕」がこの現象の原因と考えられてきましたが、実験でも利き腕と抱く方向に相関関係がみられなかったように、現在ではこういった「脳」と「視覚情報」の関係が要因であると考えられています。
via: dailymail / translated & text by なかしー
提供元・ナゾロジー
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