A.ジラール・ペルゴ
前回(Q49)ドイツ空軍で使用されたナビゲーションウオッチについて説明したが、今回はより定義を広げて“軍用時計”について紹介していく。
そもそも軍用時計とは“軍隊が制式に採用し公式に使用する時計”、または“軍隊によってオーダーされる時計”という解釈が一般的。
戦争時に使用される時計のため精度はもとより、耐久性、視認性など、極限の環境下でも高い実用性を発揮するクオリティーが求められる。
軍用として作られた時計の裏ブタには、ミルスペック(正式にはミリタリースペシフィケーション)と呼ばれる刻印がされていることが多い。
このミルスペックとは各国の政府が認定した軍の採用品の仕様や性能についての規格のことを指す。
さて、時計が軍用として作られるようになったのはいつからかだろうか。具体的な時期は定かではないが腕時計に先立って、戦場では懐中時計が用いられた。
腕時計として記録が残っているものでは、1880年にジラール・ペルゴが初代ドイツ皇帝・ヴィルヘルム1世からの注文を受けて、ドイツ海軍の将校用に開発した時計が世界初とされている。

この時計はジラール・ペルゴの懐中時計に、風防を保護するカバー、ケースにはベルト用のワイヤーラグを設け、腕に着けられるように改良したものだった。
文◎松本由紀(編集部)
<参考文献>
・『新軍用時計物語』(グリーンアロー出版社、1998年)
提供元・Watch LIFE NEWS
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