中国政府の動き

中国政府はロシアの侵攻に対して、あいまいな態度を取り続けています。

習主席とプーチン大統領は、侵攻開始の翌日(2/25)に電話会談を行いました。そこで習氏は外交交渉による終結を促しつつも、「関係国の合理的な懸念を尊重する」としてロシアに配慮する場面も見られました。

安保理や緊急の国連総会では、ロシアの即時撤退を求める決議案に対して棄権する一方で、8日に行われたフランス・ドイツとの首脳会談では国際社会と足並みをそろえる意向を示すなど、態度がはっきりしません。

19日に行われたバイデン大統領との首脳会談でも、アメリカが主導するロシアへの経済制裁や中国のロシアへの支援などをめぐって激しい応酬が行われました。議論は平行線のまま終了したとの見方が有力です。

習主席の本音は?

中国としてはアメリカとの対立を踏まえてロシアとの関係は維持したいものの、国際社会からの非難は避けたく、難しい状況におかれています。

今年の秋には中国共産党大会が開催されます。習主席は異例の3期目の首席就任を目指しており、彼の関心は、国外よりも国内にあると思われます。そのため国内基盤を揺るがしかねない今回の紛争への介入は、極力避けたいとの思惑があったと考えられます。

一方で事態が拡大し続ける中で、この紛争への対処が大きな政治イシューとなっています。もし対処に失敗すれば、自身の権力にも影響を与えかねません。

また習氏にとって悲願である台湾の取り込みにも暗雲が立ち込めています。

今回のようにすばやくアメリカ・EU・日本などが足並みをそろえて経済制裁を行えば、中国経済も厳しい状況におかれるのは間違いありません。加えて、頼みのロシアも今回の侵攻で影響力を失っています。

習主席としては、アメリカ批判をしつつこのままあいまいな態度を取り続けたい考えです。しかし国際社会のロシア批判が高まる中で、いつまでもあいまいな態度を取り続けることもリスクがあります。

習氏は念願の3期目へ向け、難しい決断を迫られています。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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