
1999年にエル・プリメロ搭載のスペシャルエディションとして500本限定リリースされたRef.PAM00052
ちょっと間があいてしまったが、2000年代の時計をクローズアップする当企画、IWCのフリーガーUTCに続く第4回はパネライのルミノールクロノを取り上げる。いまや自社ムーヴメントが当たり前となったパネライだが、汎用ムーヴメントが主流だった時代ならではの代物といえる。
ルミノールクロノは当初1999年に500本限定のスペシャルエディションとしてPAM00052が初めて発表された。そして翌年の2000年には、ルミノールシリーズの定番コレクションとして正式にラインナップ。ブレスタイプのPAM00072と革ベルトのPAM00074の2種類が用意された。

ブレスタイプのRef.PAM00072。ケースはチタン製、ブレスもチタンと鏡面仕上げのステンレススチールのコマを交互に使用して軽量化と同時に見た目にも配慮していることがうかがえる
筆者が刊行する2006年のパワーウオッチ誌に掲載されたデータを見るとその当時は中古でも100万円前後とプレミアム価格で販売されるほど人気が高かったようだ。ではなぜこれほどまでに人気だったのかというと、当時パネライの人気が絶頂期だったことに加えて、2000年頃までロレックスのデイトナにも採用されていた毎時3万6000振動もの高振動クロノグラフムーヴメント、ゼニスのエル・プリメロを搭載していたことも大きい。
LVMHグループのゼニスが、リシュモングループというある意味競合のグループに属するパネライにムーヴメントを供給していたこと自体、いま考えるとかなり驚きかもしれない。今後はまず作れない組み合わせとなるだろう。

シースルーバックからはエル・プリメロを見ることができる
このルミノールクロノは素材使いも特徴的だ。ケース素材にチタンを採用することで時計の重量を抑え、かつベゼルとリューズプロテクターにはステンレススチールを採用。そこに鏡面仕上げを施すことで、全体的にあまり無骨にならないよう考えて作られている。
もちろんブレスレットもチタンとステンレスのコンビ仕様だ。とかくズッシリとした重さになりがちなクロノグラフのブレスレットモデルだが、全体の重量が抑えられている点も評価できるのではないか。

革ベルトタイプのRef.PAM00074
なおミニッツスケールは当初、1999年の限定モデルRef.00052と同じ1分刻みだったが、その後ここに取り上げたRef.00074と同じ30秒刻みに変更されている。そして、2003年にモデルチェンジが実施され三つのインダイアルがシルバーに変更された後継モデルPAM00121とPAM00122に引き継がれたため、わずか3年間という短命に終わった。そんなルミノールクロノの現在の実勢価格は70万円代から100万円といったところだ。
パネライ
ルミノールクロノ
■商品データ
製造期間:2000〜2003年頃
型番:Ref. PAM00072(ブレス)、Ref. PAM00074(革ベルト)
素材:ステンレススチール×チタン
ケース径:40mm
防水性:200m防水
駆動方式:自動巻き(エル・プリメロベーズ、Cal.PO IV)
その他:クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、デイト表示付き
当時の税抜き参考定価78万円(ブレスタイプ)
菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!
提供元・Watch LIFE NEWS
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