このほど、トルコ南東部の都市マルディンにあるミドヤト(Midyat)地区にて、世界最大級と推定される古代の地下都市が発見された、と報告されました。
紀元2〜3世紀に建造されたものと見られ、まだ全体の3%しか発掘されていないとのこと。
これは当時、古代ローマ社会で迫害されていたキリスト教信者の避難所として使用されたと考えられています。
発掘調査は、トルコ文化観光省、文化財・博物館総局、マルディン博物館、ミドヤト市当局により、現在も進行中です。
世界最大級の「地下都市」となる可能性
地下都市が発見されたミドヤト地区は、すでに歴史文化の豊富な場所で、ユネスコの世界遺産として保護されています。
のどかな田園風景の中に広がり、80の村と100以上の教会、70以上の修道院からなります。
ミドヤト地区には何千年も前から人々が定住し、古代のアッシリアからペルシャ、ギリシア、ローマ、そしてオスマン帝国にいたるまで、あらゆる帝国に支配されてきました。
それゆえ、歴史的に重要な遺産が混在して残されています。
中でも、今回の地下都市は、過去最大級にして重要な発見となりました。
マティアテ(Matiate、「洞窟の街」の意)と命名されたこの地下都市は、約2年前に始まったミドヤト地区の大規模な清掃・保全作業の中で偶然発見されたものです。
作業員がある洞窟を掃除していたところ、隠された通路を発見したといいます。
その後、通路を掘り進めると、多数の部屋やトンネル、隠し通路、壁画などが露わになりました。
まだ総面積の3%ほどしか発掘されていませんが、すでに礼拝堂や井戸、貯蔵用のサイロ(倉庫)など、合わせて49室が見つかっています。
マルディン博物館の館長で、マティアテの発掘責任者を務めるガニ・タルカン(Gani Tarkan)氏は、次のように説明します。
「この地下都市は当初、隠れ家や避難するための場所として建設されたのでしょう。
周知のように、2世紀当時、キリスト教は公式な宗教ではなく、迫害対象となっていたからです。
キリスト教を受け入れた家族や集団は、ローマの迫害から逃れるため、地下都市に避難するのが一般的でした。
マティアテ(Matiate)もそのために作られた居住空間と見られ、少なくとも6~7万人が生活できたと推定されます」
トルコでは、地下都市や洞窟ネットワークの発見は珍しくありませんが、これほど大規模なものは極めて稀です。
専門家らは、「マティアテはこれまでに見つかった地下都市の中で、史上最大のものになるだろう」と予測しています。
トルコではすでに40以上の精巧な地下都市が発見されていることを考えると、これは驚くべき発言です。
たとえば、トルコ中央部のカッパドキアにあるデリンクユ(Derinkuyu)は、8層以上にわたる地下都市で、深さは80メートルにも及びます。
この複合体は、換気シャフト、井戸、水タンク、厩舎、アパートメント、共同墓地を完備し、内側からしか開けられない1000ポンド(約450キロ)の石扉で保護されています。
しかしダルカン氏は、今回の発見がそれをはるかに凌ぐものになると考えています。
「これほど広大な面積に広がる地下都市は他にありません。
マティアテの全貌が明らかになれば、これは真に世界に衝撃を与える地下都市となるでしょう」
参考文献
Excavations reveal huge underground city in Turkey’s Mardin
Enormous Underground City Discovered in Turkey
提供元・ナゾロジー
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