円建てドル投信は10年で4倍になった
しかし円が安くなると、ドル建ての投信は魅力的な金融商品である。次の図のように、この10年で円建てでみると、NYダウ投信は4倍以上になった。株価は3倍弱だが、ドル/円が80円から130円と1.5倍になったからだ。
もちろんこれから株価がどうなるかはわからないが、円安が続くと家計貯蓄がドルに向かう可能性がある。個人金融資産2000兆円の1割が動いてもGDP比40%なので、円は大きく下がるだろう。それは最終的にどこまで下がるか。
その均衡条件が(*)式で貯蓄超過が消えることだとすると、130円では実現しない。変動相場制になってから貯蓄=投資だったのは1990年(1ドル=130円)だが、このときはバブルで不動産投資が増えた。今は国内投資を増やす自然為替レートはもっと円安だろう。
たとえば1ドル=150円ぐらいになれば、製造業の海外拠点が戻ってきて国内投資が増え、ISバランスが回復するかもしれない。黒田日銀の円安誘導は大きすぎたのではなく、小さすぎたのだ。
文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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