目次
たっぷりの昼寝で心も身体も健康に
小中学校に「昼寝タイム」の導入を
Point
■子どもの昼寝は、幸福度・自己制御・根気を増大させ、問題行動を減らし、学力さえも伸ばす効果があると判明
■小中学校は、「昼寝タイム」の導入を検討すべき
■教育レベルの高い両親を持つ子どもは、教育レベルの低い両親を持つ子どもより、多く昼寝をすることも明らかに
世間の親たちに、子どもの昼寝のメリットについて尋ねてみたら、健康面や学業面で次々と良い反応が返ってくるだろう。
ペンシルベニア大学とカリフォルニア大学の研究チームが、このことを裏付ける論文を雑誌「Sleep」に発表した。それによると、子どもの昼寝は、幸福度・自己制御・根気を増大させ、問題行動を減らし、学力さえも伸ばす効果があるそうだ。
Midday napping in children: Associations between nap frequency and duration across cognitive, positive psychological well-being, behavioral, and metabolic health outcomes
たっぷりの昼寝で心も身体も健康に
研究チームによると、睡眠不足と日中の眠気で悩む子どもは、米国全体の2割にまで達する。不適切な睡眠習慣は、子どもの認知・感情・身体に悪影響を与えるが、これまでの研究は就学前の幼児を対象としたものがほとんどだった。
これは、特に米国などの国では、子どもが大きくなるにつれて昼寝の習慣を止めることが多いためだ。研究チームは、中国では小中学校に入ってからも昼寝の習慣が継続することから、2004年に開始した中国金壇(ジンタン)区のコホート研究を活用することにした。この研究は、幼児期から思春期までの被験者を追跡したものだ。
2,928名の被験者から、グレード4〜6(日本の小学4〜6年生に相当)までの、昼寝の頻度と長さについてのデータが集められた。また、グレード6に達した時点で、根気・幸福度などの精神面、BMI・血糖値などの身体面の計測が行われた。また、教員たちからは、各子どもの行動や学力に関する情報が集められた。
収集したデータをもとに、性別・学年・学校の所在地・両親の教育レベル・睡眠習慣を調整しつつ、それぞれの結果と昼寝の関係性を分析したところ、昼寝をたくさんする子どもほど、精神面・身体面ともに良い効果が現れることが明らかになった。
小中学校に「昼寝タイム」の導入を
研究チームは小中学校に、「昼寝タイム」の導入を推めたいとしている。導入には費用も掛からないし、下校時間を少し遅らせさえすれば授業時間を減らす必要もない。
さらに興味深いことに、教育レベルの高い両親を持つ子どもは、教育レベルの低い両親を持つ子どもよりも、たくさん昼寝をすることも分かった。その要因については、今後調査を進める予定とのことだ。
子どもに昼寝をさせるかどうかには、その地域の文化や個人の考え方が大きく影響する。研究チームは、昼寝の導入を世界的スケールに発展させることの可能性を探りたいと考えている。
「寝る子は育つ」は、確かのようだ。
提供元・ナゾロジー
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