2022年4月17日午前5時ごろ、ハワイ上空で輝く螺旋の渦が観測されました。
この謎の渦をとらえたのは、日本の国立天文台がハワイ観測所に置いた「すばる望遠鏡」です。
そしてすばる望遠鏡に設置された「星空ライブカメラ(国立天文台と朝日新聞が運営)」が、約5分にわたって渦巻きが移動したり回転したりする様子を記録しました。
ハワイ上空にいきなり現れたこの渦巻きの正体はいったい何だったのでしょうか?
その答えには、アメリカの「ある機密」が関係していたようです。
目次
ハワイ上空に突然現れた謎の渦巻きの正体は!?
「謎の渦」の原因は、「謎の偵察衛星」打ち上げだった
ハワイ上空に突然現れた謎の渦巻きの正体は!?
ハワイのマウナケア火山の山頂付近(標高4200m)は天候が安定しており、空気も澄んでいます。
天体観測に最適な場所の1つであるため、世界中の研究機関がこの場所に天文台を設置しています。
日本の国立天文台も、大型光学赤外線望遠鏡の「すばる望遠鏡」を運営。
そして朝日新聞宇宙部と国立天文台は、すばる望遠鏡に設置した高感度な「星空カメラ」を用いて、星空のライブ配信を行ってきました。
その星空カメラに不思議な現象が映ったのは、2022年4月17日午前5時ごろ(日本時間18日午前0時ごろ)でした。
ハワイ上空に「輝く螺旋」がいきなり表れたのです。
この光の渦は、動画でも確認できるように、ゆっくりと回転しながら移動しています。
最初は画面左端に登場しますが、その後は右に向かって移動していき、最終的には画面中央あたりでその姿を消しました。
映像は早回しになっていますが、実際には謎の渦は約5分間姿を現していたそうです。
では、この光の渦の正体は一体何なのでしょうか?
「謎の渦」の原因は、「謎の偵察衛星」打ち上げだった
光の渦の正体は、アメリカの宇宙企業「SpaceX」が打ち上げたファルコン9ロケットだったと推定さています。
SpaceX社は、光の渦が観測された2時間前に、アメリカ・カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から商業用ロケット「ファルコン9」を打ち上げているのです。
彼らのミッションは、アメリカ国家偵察局(NRO)の偵察衛星を軌道上に届けることでした。
NROは国防総省や諜報機関に情報を提供する政府機関であり、その活動すべてを明かすわけではありません。
今回の偵察衛星も機密扱いなため、詳細は明かされておらず、NROも「衛星の打ち上げは成功した」とだけ報告。
そして光の渦は、この衛星が打ち上げられた際に、ロケットから切り離された部品を星空カメラがとらえたものだったのです。
ファルコン9の1段目は再利用するために回収されます。
しかし2段目は使い捨ての部品であり、人工衛星を軌道に乗せた後は再び大気圏に突入します。
そしてオランダの科学者マルコ・ラングブルック氏は、「切り離されたファルコン9の2段目が推進剤を排出しながら落下する際に、渦巻き状になることがよくある」と説明しています。
つまり使い捨てのロケット2段目が残留ガスを噴射しながら回転。そこに太陽の光の反射が合わさって、星空カメラに映し出されたというわけです。
機密扱いの「謎の衛星」が打ち上げられた結果、自然現象が作用し、ハワイ上空で「謎の渦」が観測されたのです。
謎が謎を呼んで大きな話題となりましたが、多くの人が関心をもったことで情報が集まり、原因を解明することができました。
もしかしたら今後も、人工物や人類の思惑、そして自然現象が偶然合わさった結果、「不思議で奇妙な謎」が生まれるかもしれませんね。
参考文献
Mysterious Glowing Swirl Over Hawaii Was Actually a Dying SpaceX Rocket
‘Mysterious Flying Whirlpool’ in the Sky Was Not a UFO
提供元・ナゾロジー
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