不動産投資を学ぶ方法は、独学で行うか、セミナーのようなイベントに参加するかの2つに大別できます。独学は主に専門家が書いた書籍やインターネット上の記事を読むことが中心で、興味を持った時点から気軽に取り組めます。セミナーは、場所や日時が決まっているのでインターネットで記事を読むよりはハードルが上がります。しかし、直に専門家の話を聞くことができ、不明な点があれば質問することも可能です。本記事ではセミナーに参加するメリットを考えます。なおここで言うセミナーとは、複数社が参加する大規模なカンファレンスから、各企業もしくは個人投資家が開催する小さな勉強会までを含めて考えます。

目次
不動産投資セミナーに参加すると得られる6つのメリット
不動産投資セミナーに参加する前にチェックしたい3つのポイント

不動産投資セミナーに参加すると得られる6つのメリット

まず、不動産投資セミナーに参加するメリットとして、以下のような項目が挙げられます。

  1. 不動産に関わらず資産形成の情報を得ることができる 不動産投資セミナーで行われる専門家の話は、不動産投資に関するものだけではありません。

もちろんセミナーによって異なりますが、法律や税に関する内容に触れられたり、投資全般の話を聞くことも、老後2,000万円とよばれるような時事ネタを掘り下げた内容に触れることもあります。

このようなセミナーに参加すれば、不動産投資を始めなかったとしても、年金の仕組みを学べたり、資産形成に関する情報を得たりすることができます。

不動産投資を実際にする・しないに関わらず、さまざまな話題に触れられるので、学ぶ手がかりを得ることになります。資産形成に関する情報を集めるためだけでも、十分に参加する意義があるといえます。

  1. 専門家に直接質問ができる 不動産投資セミナーに参加すると、テーマによって金融や税務、不動産、ファイナンシャルプランナーとさまざまな分野の専門家から話を聞くことができます。

また多くのセミナーでは、個別相談のコーナーがありますので、専門家の話を聞くだけでなく、直接質問をする機会もあります。

本やインターネットの情報だけでは専門家に対面で質問をする機会はありませんので、個別相談が利用できるのは参加する大きなメリットといえるでしょう。

  1. 参加者と会話することもできる 参加者を交えた座談会が開催されるセミナーもあります。参加者がどういう考えや意識を持っているのか、どのような点で悩んでいるか、すでに実践している人がいたら借入金はどのくらいか等、リアルな内容をやりとりすることができます。

日本に暮らしていると「人とお金や資産形成の話をする」という機会が少ないので、資産の運用について会話ができる数少ない機会になります。

  1. 未公開物件やネットに流れていない情報を入手することも セミナーによっては、会場で未公開物件を紹介してもらえることがあります。未公開物件とは、市場に出る前の段階で紹介される情報のため、他に競合する買い主がいない状態で検討することができます。

また、実際に運用している人から、ローンを受けられる金融機関の情報が得られたり、具体的なローンの金利を聞くこともできたりします。具体的な不動産投資の手法を学ぶことができるので、自分で行う際のシミュレーションをたてやすくなるでしょう。

5. その場でシミュレーションを作成してもらえることがある

セミナーによっては、不動産投資を検討している参加者に、担当者が物件を購入した場合のシミュレーションを作成してくれることがあります。

実際に投資物件の購入を検討している場合は、シミュレーションを作成することで、自分の条件にあてはめて始めた場合の具体的な運用状態を確認することできます。

6. 情報流通の「歪み」による収益を期待できる

上記1~5の体験を通じて、実際に不動産投資を始めた場合、株式投資などの金融資産の運用では得られない「歪み」からの収益が期待できます。

「歪み」とは情報が一部の人たちだけに独占され、知っている人と知らない人の格差が生まれている状態です。株式や為替のようなマーケットで、情報が広く共有されている分野では、この歪みがほとんど存在しません。情報格差は短期的に解消されてしまうので、人を出し抜いて収益を上げることが難しいのです。

一方、不動産の場合、物件情報がインターネットで公平に公開されているかというと、そうではありません。日本の不動産業界においては、まだまだネット上ではなく現場で情報がやり取りされています。そのため「セミナーでしか得られない情報」も存在することになります。

書籍やインターネットだけで完結する人は、そのような情報が存在していることに気づかず、毎日を過ごすことになります。一度セミナーに参加してみて、どのような内容がやりとりされているか、ご自身の目で確かめられることをおすすめします。

ただし、すべてのセミナーが不動産投資を成功させるための有益かつ正しい情報を提供しているかというと、そうとは言えません。

不動産投資セミナーの主催者はさまざまです。(1)新築マンション販売会社、(2)中古マンション販売会社、(3)不動産賃貸会社、(4)不動産管理会社、(5)不動産コンサルティング会社、(6)経営コンサルティング会社などがあります。

基本的にセミナーの目的は、主催企業や参加企業が扱う物件への投資を誘導するものになっています。参加費が無料のセミナーに参加しても、時間と交通費を無駄にすることもあり得ます。

情報収集のために、はじめはある程度時間をかけるのも有効です。そしてある程度様子がわかったら、自分にとって有益と思われる物件を提供する企業にしぼっていくのがよいでしょう。

不動産投資セミナーに参加する前にチェックしたい3つのポイント

数ある不動産投資セミナーの見分け方として、次に3つのポイントを挙げます。

1. 「新築」「中古」どちらをおすすめするセミナーか

投資用物件の価格は同じような立地、条件でも新築と中古で大きな差があります。ワンルームマンションの場合、都心で購入すると、新築の価格は安くても3,000万円台、23区のなかでも一等地になると4,000万円を超える物件もあります。一方、中古は2,000万円台の物件が中心です。

多くの中古ワンルームのデータを見ると、新築から中古になったとたんに2割から3割程度、価格が下がります。この価格差は、新築物件の売主(デベロッパー)が広告宣伝費や人件費等の利益を上乗せした価格で販売していることによって生じるものです。

新築物件を売り出す際には、立派なパンフレットやウェブページを作成し、インターネットや新聞などで広告して売り出します。そして、何十人もの営業マンが販売活動を行います。   中古の場合は新しくパンフレットをつくることはありません。新築物件の場合は、時期によって土地の仕入れ価格や建築資材、工賃といった価格も異なり、物件価格に反映されます。しかし中古の場合は、基本的には売主と買主の需給関係で価格が決まるので、新築に比べて適正な価格で購入することができる傾向です。

新築と中古では物件の購入額に大きな差があっても、家賃の額はさほど変わらないのです。都心の立地がよい物件であれば、得られる家賃収入がほとんど変わらない一方で、新築は物件価格が2割から3割も高いわけですから、収益性には大きな差が出てきます。

自分で住むわけではないので、不動産投資で物件を選ぶ際には、まずは収益性を第一に検討することが大切です。新築の方が「15年は大規模修繕が発生しない」と考えることもできますが、物件の価格が高いため、収益性で選ぶなら、トータルで発生するコストが安くなると考えられる価格の安い中古に目が向くのではないでしょうか。

ネット上のセミナーの告知において、「中古マンション」というワードが入っているかどうかで見分けることができます。

2. 主催者は不動産仲介会社か、売主となる販売会社か。また物件管理のサービス提供はあるか

不動産は「何を買うか」と同じくらいその後の管理も重要となります。不動産の仲介会社から物件を購入する場合は、その不動産会社との付き合いは物件購入までです。

購入後、長期間にわたる物件の維持管理についてもセミナーで情報収集するとしたら、主催企業の内容を確認してから参加をするのがよいでしょう。

また物件をもつ売主から直接購入すれば、「仲介手数料」の発生もありません。

3. 金融機関との提携数が多い会社かどうかを選択すること

セミナー参加前にはわからない情報かもしれませんが、金融機関との提携ローンを多く扱っている販売会社は、金融機関に対する信用力があることの証拠であります。

住宅ローンと投資用ローンでは、金融機関が審査するポイントが大きく変わります。

住宅ローンの審査は、何といっても個人の信用力を重視します。具体的には、勤務先、勤続年数、年収(給与)に加え、現在までの負債の履歴(負債の金額、延滞などがあるかどうか)などの信用情報が審査の対象となります。返済原資は個人の給与収入ですから、勤務先や収入、他に借金があるかどうかといったことが重視されることになるのです。

一方、投資用ローンの審査では、受託ローンと同じように個人の信用力も重視されますが、返済原資が家賃収入となるため、個人の信用力と合わせて、投資先の不動産の収益力と担保力が重要になってきます。

空室リスクが低く、安定的な家賃収入が見込めると判断できる物件なら、収益が安定し、ローンの返済が滞る可能性は低くなります。さらに、立地および建物が良い物件であれば、資産としての価値が上がるのでローンの担保としては高く評価されることになります。

逆に収益性が低く、担保力も小さい物件だと金融機関が判断すれば、融資を申し込んだ人の信用力が高くても、審査が通りにくくなります。

不動産販売会社の中には、投資用ローンとして「提携ローン」を提供しているところもあります。提携ローンとは、不動産販売会社が金融機関と提携して用意している、特別な条件のローンのことです。提携ローンは、他の投資用ローンに比べて、借入金利が低く設定されている点が大きな特長で、他の融資条件も借り手にとって有利な内容になっています。

利用ができる場合は、積極的に活用すべきです。提携ローンがある不動産会社は、金融機関から会社としての信用力を評価されているといっていいでしょう。提携ローン を提供するためには、不動産販売会社自体が金融機関から審査を受けることになるからです。

販売戸数の実績、物件に対する審査能力、業績の動向など、不動産販売会社としての実力をチェックされた上で、提携ローンは提供されます。

金融機関との提携数が多い会社が主催するセミナーに参加することで、優良物件の購入や提携ローンの利用に繋がる可能性が大きくなるといえます。