マンションを購入5年以内に売却する場合、できるだけ高く売却するためにはどうすれば良いのでしょうか。購入5年以内にマンションを売却する場合の注意点や高値で売るポイントを解説します。

目次
マンションを購入5年以内に売却することはできるか
マンションを購入5年以内に売却するときに注意したいこと

マンションを購入5年以内に売却することはできるか

「購入後○年経過しないと販売できない」という規定はないので、購入して5年以内のマンションも売却はもちろん可能です。

マンションの売却価格は築年数を追うごとにどんどん下がっていきます。買ったばかりでも売却の意思や必要があるのであれば、早いタイミングで決断する方が高く売却できる可能性は高まります。では、マンションを5年以内に手放す場合、いくらで売却されているのでしょうか。

築5年以内の中古マンションの平均平米単価

首都圏における築5年以内の中古マンションと、築10年以内の平均平米単価は以下のとおりです。

中古 築5年以内
平米単価
築10年以内
平米単価
東京23区 108.7万円 97.9万円
多摩地域 65.3万円 58.4万円
埼玉県 65.6万円 51.8万円
千葉県 55.2万円 45.3万円
神奈川県 73.4万円 59.3万円

首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2019年10~12月】|東日本不動産流通機構より作成

新築の価格と比較してみましょう。

新築 平米単価
東京23区 112.3万円
多摩地域 79.3万円
埼玉県 64.0万円
千葉県 60.5万円
神奈川県 75.8万円

首都圏マンション市場動向2019年(年間のまとめ) |不動産経済研究所より

築年数 が経過するごとに、価格が下がっているのがわかります。

マンションを購入5年以内に売却するときに注意したいこと

市場での価値も、買主からの需要も高い築浅マンション。購入5年以内のマンションを売却する際にはどのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。

売却の意思があるなら早めに!

先ほどご紹介したように、築5年未満のマンションはそれほど大きな下落もありません。地価や不動産市場の流れによっては購入価格よりも高く売れるケースもあり、売却益を得られる可能性もときにあります。

不動産流通経営協会の調査(回答数955)によると、1都3県での住宅購入者のうち前の家を売却した156世帯の中の、築5年以内の物件を売却した20世帯においては「全体の50%が、購入価格より高い価格売れた」という結果も出ています(不動産流通業に関する消費者動向調査. <第24 回(2019 年度)> 図18 2019年度データより)。

もちろん、住んでいる地域・立地条件・マンション自体の設備によっても大きく変化するため、築5年以内であれば高値で売れるというわけではありません。とはいえ、早く売れば売るほど、高い価格で売却できる可能性はあるため、売却の意思や必要がある場合にはすみやかに手続きを進めましょう。

住宅ローン完済の目途

購入後5年以内のマンションに限ったことではありませんが、融資(住宅ローン) を受けているマンションを売却する場合には、借入金を全額返済して物件を引き渡さなければなりません。

住宅ローンを組む場合、金融機関は「担保」として該当マンションに抵当権を設定します。住宅ローンが残った状態ではこの抵当権が外れず、買主に引き渡すこともできないので注意しましょう。

購入して間もない場合には返済金額が多く残っているので、売却代金でローン残債を相殺できないこともあります。そのような場合には貯金での補填やダブルローンによる返済が必要です。大きなお金が動く出来事なので、マンション売却前に「住宅ローンの完済は可能であるか」「足りない場合には資金を用意できるのか」を十分確認しておきましょう。

売却益が出た場合、税金が高くなる

マンション売却で得られた利益については税金が課せられます。売却益にかかる税金は購入して何年経っているのか(=所有期間)によって税負担が異なります。

売却した年の「1月1日」時点で、所有期間が5年以下だと「短期譲渡所得」が適用され、5年を超えた場合よりも税金が倍ほど高くなります。

【所有年数による税率の違い】

所有年数 住民税 所得税 合計(特別復興特別所得税含む)
短期譲渡所得 5年以下 9% 30% 39.63%
長期譲渡所得 5年超 5% 15% 20.315%

表にあるとおり、短期譲渡所得の場合には売却益に対して39.63%税金がかかってしまいます。高い税率に驚かれるかもしれません。もちろん税金がかかるのは売却によって利益が出た場合に限るので、売却価格から購入価格・売却費用・特別控除・各種手数料などを引いた金額がゼロ以下であれば税金が課せられません。

ここまで短期譲渡所得税について説明しましたが、次の特例で実際には税金がかからないことがほとんどかもしれません。売却益が出た場合3,000万円まで税金がかからない「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」という特例があります(一定の要件あり)。この特例は物件の所有期間に関わらず要件を満たせば適用されるので、利益が3,000万円までならば所有期間は問題ではなくなります。