円安が止まらない。ファッション業界では特に円安ユーロ高がほぼ全般を直撃している。2年前は1ユーロ=118円程度だったものが、現在は1ユーロ=136円へ急激な円安が進行中だ(下表参照)。例えば、ブランド力のあるルイ・ヴィトン ジャパンやエルメス・ジャポンは、円安になれば、値上げしても消費者は渋い顔をしつつも買ってくれるので、販売個数は減っても、総売上高は値上げ効果で若干プラスになるし、むしろ販売効率が上がって、営業利益率は若干プラスというような好結果になってしまう。S〜A級に属する10ほどのラグジュアリーブランドは、ことほど左様に円安はあまり響かない。
では、中国をはじめとして海外での生産比率がほぼ100%の日本のアパレルメーカーなどについては、円安はどういう影響になるのか。日本での販売がほぼ100%のアパレルメーカーにとっては、ドル建てでビジネスをしている場合、やはり輸入価格が大きなデメリットになる。簡単には値上げできないので、その分だけ自己負担して利益が縮小することになるからだ。ただしファーストリテイリングのように、日本国内の売り上げよりも海外での売り上げが大きくなっている企業では、日本国内販売については、円安の影響を受けるが、海外分についてはその影響は相殺されてほとんどない。
急激な円安によって最も深刻な状況に追い込まれているのがインポーターだろう。主要仕入先のヨーロッパからの輸入価格が急騰している。すでに影響は出ているが、今年秋冬ものからその影響は急拡大することになるからだ。かつて日本のインポーターの場合、円安の限界点は1ユーロ=130円と言われていたものだ。現在はその限界点の1ユーロ=130円はおろか、135円も突破している状況で、あきらかに危険水域に入っている。ただでさえコロナ禍による消費低迷、輸送費の急騰があり、さらにウクライナ情勢の長期化という悪影響が加わって、踏んだり蹴ったりの状況に陥っているのが日本のインポーターだ。なんとか今の最悪の状況を乗り越えて欲しいと願うばかりだが、明るい話題はなかなか見えてこない。



文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO
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