生涯現役を貫く
ギンズバーグ氏は2020年9月18日、3度目のガンで87歳の生涯を閉じた。その日、ワシントンの最高裁判所前には追悼のため多くの市民が訪れ、彼女の棺は議事堂に安置された。それは女性初の快挙だったことからも、残した功績の偉大さがうかがわれる。
拙稿「米最高裁、初の黒人女性判事誕生へ向けブライヤー判事退任」のとおり最高裁判事に定年はない。このため、辞任するのは自ら辞めるか亡くなる以外ない。バイデン氏に大統領選での公約を実現する機会を与えるため勇退したブライヤー判事同様、ギンズバーグ判事にもオバマ大統領の在任中(2009~2017年)にリベラルな判事を選ぶ機会を与えるべく勇退を期待する声もあった。しかし、彼女はまだやり残した仕事があると言って、生涯現役を貫いた。
最愛の夫が死亡した翌朝も法廷で意見を読み上げるため最高裁に出廷。共著もガンと闘いながら執筆し、亡くなる3週間前に脱稿した。こうした事例からもやり残した仕事を完遂しようとした彼女の熱意が読み取れる。
共著者もギンズバーグ氏の死後、執筆した「あとがき」でギンズバーグ氏のオフィスの壁にかけられていた申命記の一節、
「裁判官よ、汝正義を追求すべし」
を紹介しつつ、この使命感が彼女の原動力だったと指摘している。
文・城所 岩生/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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