「新技術開発に拍車をかけ、新たな未来を先導しなければならない」(2019年8月、サムスンディスプレイ牙山(アサン)事業所を訪問したイ・ジェヨン副会長発言)
2019年10月、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が2025年までに計13兆1000億ウォン(約1兆3474億円)程度投資するという計画を明らかにし、未来の収益源として注目した量子ドット(QD)ディスプレイの生産歩留まり(製造品のうち良品比率)が安定を取り戻した模様だ。韓国メディア「ヘラルド経済」が報じた。(写真:サムスン電子)
サムスンディスプレイは最近、サムスン電子のQD-有機発光ダイオード(OLED)テレビに搭載される自社パネルが70%水準を超えたと、役職員らに公示した。昨年11月末の本格生産以降拡散したQD-OLED工程への懸念が高まっている。
16日業界によると、サムスンディスプレイは今月1日、社内掲示板にQD-OLEDパネルの歩留まり75%達成の事実を伝え、役職員の苦労をねぎらったという。近いうちに歩留まり90%以上を達成しようという目標も新たに掲げたという。
これまで業界では、該当パネルが低い歩留まりによって競争力が落ちるという指摘が相次いだ。昨年11月、該当パネルの生産を本格化した際、歩留まりが30%台という話が出ていた。10枚中7枚は不良という意味だ。今年初めにも50%前後の歩留まりを示し、年末になって歩留まりが安定するという見通しが示されていた。実際、今年1月に行われた2021年第4四半期の業績カンファレンスコールで、サムスンディスプレイ側は「年末にQDディスプレイの歩留まりが競争力を備えることができるだろう」と述べた。
今年のサムスンディスプレイの歩留まり目標としては70%が取り上げられた。しかし予想より早い時期に目標値を突破し、上半期内に80~90%まで歩留まりが安定する可能性が提起されている。
ただ、歩留まりが上がっても、直ちに関連テレビ市場の支配力を確保することは難しいという観測だ。現在、QD-OLEDの生産能力は月3万枚だ。歩留まりが100%に近いと55・65インチパネルを年間180万枚生産できるという。今年、全世界に供給されるものと予想されるOLEDテレビパネルの物量が1000万枚という点を考慮すると、QD物量が足りないという評価が出ている。
ただ、顧客企業の拡大は肯定的に評価される。デル、ASUS、レノボ、HPなどのモニター顧客会社だけでなく、サムスン電子やソニーなどとも交渉が進められている。ソニーは今年6月ごろ、サムスン電子は来週、関連製品を披露する予定だ。
サムスンディスプレイは今年、大型事業の収益性が改善される見通しだ。今年6月、これまで収益性の悪化で足を引っ張った液晶表示装置(LCD)の生産を中止することになる。
サムスンディスプレイの来年のテレビパネルのラインナップが多様化するという見通しも出ている。市場調査会社のディスプレイサプライチェーン(DSCC)は、サムスンディスプレイが来年、製品ポートフォリオに49インチと77インチを追加するだろうと見込んだ。
業界関係者は「会社が2021年にQDディスプレイにすでに3兆ウォン(約3086億円)程度投資した」とし「今後の歩留まりを安定化した後、さらに攻撃的な投資執行で市場支配力を拡大していく可能性が高い」と見通した。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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