顧客・現場視点での利便性を追求

 ここからは、私たちが開発する「スマートショッピングカート」の実績などについて説明していきます。私たちは、2015年から買物カートのスマート化への挑戦を開始し、グループ会社に「トライアル」というリアル店舗を持つ強みを生かして現場で改善を続けてきました。既存店舗にフィットさせることへ主眼を置いたオペレーション・ドリブンの考え方を徹底し、現時点ではシンプルで使いやすいスマートショッピングカートを導入しています。

 顧客及び現場視点の改善を積み重ねてきたことにより、「スマートショッピングカート」は多くのお客さまにご支持をいただいています。21年12月の月間利用者数は120万人を超え、タブレットが付属している買物カート(POS機能付き)としては、世界No.1といっても過言ではありません。つまり、「スマートショッピングカート」は世界で最も使われているのです(自社調べ)。

店舗から有人レジがなくなる? トライアルの「スマートショッピングカート」の革新性
(画像=「スマートショッピングカート」の導入実績、『DCSオンライン』より 引用)

 また、導入店舗数は58店舗(グループ外3店舗)、総導入台数6019台、利用率43%、来店頻度13.8%増、レジ人時20%減など、稼働実績、導入効果の双方で高い効果が示される結果となっています。

 今回は店舗に来店いただいたお客さま視点を中心としてスマートショッピングカートの価値についてお話ししました。次回は、新世代カートでの取り組み、小売およびメーカーから見たときのメディアとしての価値などについて解説する予定です。

プロフィール

店舗から有人レジがなくなる? トライアルの「スマートショッピングカート」の革新性
(画像=『DCSオンライン』より 引用)

永田洋幸(ながた・ひろゆき)

1982年福岡生まれ。米コロラド州立大学を経て、2009年中国・北京にてリテール企業向けコンサルティング会社、2011年米シリコンバレーにてビッグデータ分析会社を起業。2015年にトライアルホールディングスのコーポレートベンチャーに従事し、シード投資や経営支援を実施。2017年より国立大学法人九州大学工学部非常勤講師。2018年に株式会社Retail AIを設立し、現職就任。2020年よりトライアルホールディングス役員を兼任。

文・永田 洋幸(Retail AI 代表取締役社長)/提供元・DCSオンライン

【関連記事】
「デジタル化と小売業の未来」#17 小売とメーカーの境目がなくなる?10年後の小売業界未来予測
ユニクロがデジタル人材に最大年収10億円を払う理由と時代遅れのKPIが余剰在庫を量産する事実
1000店、2000億円達成!空白の都心マーケットでまいばすけっとが成功した理由とは
全85アカウントでスタッフが顧客と「1対1」でつながる 三越伊勢丹のSNS活用戦略とは
キーワードは“背徳感” ベーカリー部門でもヒットの予感「ルーサーバーガー」と「マヌルパン」