3. 日本の検査不足およびその情報収集公開の不備
この1月の無症状者対象無料検査の結果で、上記のように都内では公表新規感染者数の40倍もの無症状感染者がいると推定できた。ところが、日本ではこれまでずっとこうした無症状者中心の市中感染状況は把握されてこなかった。今も報道では、有症者中心の行政・保険適用検査の結果である公表新規感染者数だけを報告している。しかも現在ですら、日本の最大全検査能力は日に41万件でしかない。
諸外国の情報も入手でき、無症状者も多数存在することが知られているのに、日本では公表新規感染者数情報だけが市中感染状況を示すと受け取られ続けている。その根拠として、分科会メンバーは、感染者の3割が無症状者だとの報告があり、一方公表新規感染者数のうちの3割程度が濃厚接触者からの陽性判明者であることから、まるで公表新規感染者数が日々の有症無症すべての新規感染者を網羅しているが如き説明をする(メルマガ記事)。そんなデタラメを誰が信じるのだろうか。
日本のコロナ流行では、失う必要のなかった多くの命・健康、医療従事者等の逼迫状態、緊急事態宣言などによる国民の自由の制限・経済的損失、補償や医療などでの税金の無駄遣い等々国民は多大なる被害を被った。その大きな要因として、論じてきたように検査不足と的確な情報の非収集・非開示がある。
こんな情報不足で、どんなコロナ対策を打てるというのだろうか。国民も、自らの行動を律するに、何を根拠に行おうというのだろうか。是非ともしっかり目を見開いて、現行検査制度の不備を見定め、政府の情報操作に惑わされることなく、コロナ感染状況を正確に把握するための検査情報入手努力をして、自らの行動を律して欲しいと期待する。
文・一般投稿
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山登 一郎 東京理科大学基礎工学部名誉教授。大学では微生物学を講義していたが、7年前退職。2020年クルーズ船入港時よりコロナ関連の報道に注目、検査制度の不備を指摘し続けている。
文・一般投稿/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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