船をビーチに上陸させるのは簡単ではなく、どうしても人手が必要になります。

そこでアメリカのボート製造会社「Hard Drive Marine」は、自力で上陸するロボット船「マックスゲートボート」を開発しました。

ボートの先端に取りつけられたロボット脚によって、這うように上陸できるのです。

目次

  1. ロボット脚で一生懸命に上陸するボート

ロボット脚で一生懸命に上陸するボート

「船首渡し板」を脚代わりにして「自力で上陸する」ロボット船
(画像=係留施設では停泊が簡単 / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

通常、港などの係留施設(船が停泊するための施設)では、船が海に浮かんだままの状態で陸地に近づけます。

そのためロープを結ぶだけで停泊でき、荷物の積み下ろしも簡単です。

しかし係留施設がないビーチ(砂浜)では、上陸させるために余分の労力とテクニックが必要になります。

「船首渡し板」を脚代わりにして「自力で上陸する」ロボット船
(画像=小型ボートでもビーチへの上陸は苦労する / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

例えば、波打ち際まで船を進めた後は、乗組員が降りて水に濡れながら岸までたどり着く必要があるでしょう。

その後は、ロープで船を引っ張って、適切な位置に上陸させなければいけません

また潮の干満や風を絶えず考慮する必要もあります。

そうしなければ知らないうちに船が流されてしまったり、完全に座礁して人力では海に戻せなくなったりするのです。

「船首渡し板」を脚代わりにして「自力で上陸する」ロボット船
(画像=自力で上陸するロボット船 / Credit:Hard Drive Marine、『ナゾロジー』より 引用)

Hard Drive Marine社が開発したロボット船「マックスゲートボート」は、これら面倒な上陸を一気に簡略化してくれます。

人の手を借りず、自力で上陸できるのです。

画期的な設計ですが、一生懸命に上陸する様子は、どこかコミカルで可愛らしささえ感じさせますね。

さて、マックスゲートボートは貨物船なので、船首がドアになっており、ここから荷物を運び入れられます。

ここまではよくある構造ですが、注目すべきはドア先端に装備された「ロボット脚」です。

油圧式のロボット脚によって、這うように砂浜を移動できるのです。

「船首渡し板」を脚代わりにして「自力で上陸する」ロボット船
(画像=装備されたスパイクでしっかりと固定 / Credit:Hard Drive Marine、『ナゾロジー』より 引用)

またロボット脚のスパイクによって陸地にしっかりと固定できるので、強風や潮の影響を受けずに荷物の積み下ろしが可能

さらにワイヤレスリモコンを利用すれば、数十メートル離れた場所からでも操作できます

これにより乗組員が水に濡れたり、誰かに応援を頼んだりする必要がなくなるのです。

現在、マックスゲートボートにはいくつかのバージョンが存在しています。

気になる方はぜひ公式サイトの情報をチェックしてみてください。

参考文献
A Nifty Boat With Robotic Legs That Walks Itself Ashore

提供元・ナゾロジー

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