A.セイコー

 いまや当たり前となっている自動巻きクロノグラフ。初めて腕時計用クロノグラフに自動巻き機構を加えたのは、1947年に登場したとされるレマニアのアルバート・ピゲ。少なくともこれが記録と実物が確認できる、世界初の自動巻きクロノグラフムーヴメントと言ってよい。
 ただ誕生が47年なのであって、腕時計サイズまで小型にし、量産化し商品として販売されたのはなんと69年になってから。実に20年以上後のことである。ではなぜ商品化までこれほどの期間を要したのか。

 端的に言うと自動巻き用のローターとクロノグラフ機構のモジュールの両方を、腕時計という小さなスペース内に納めることに困難を極めたということである。
 69年、その困難を乗り越えてスイスと日本の時計メーカーがついに自動巻きクロノグラフを発表する。ブライトリング、ホイヤー・レオニダス(現タグ・ホイヤー)、ハミルトン、そしてデュボア・デプラの4社連合で開発した“クロノマチック”ことキャリバー11。ゼニスの“エル・プリメロ”(モバードの“デイトロン”)のキャリバー3019PHC。そして、諏訪精巧舎(現セイコーエプソン)が開発したキャリバー6139だ。

Q23.世界で初めて自動巻きクロノグラフを発売したメーカーはどこか?
こちらがキャリバー6139を搭載したセイコー 5 スポーツ スピードタイマー。世界で初めての量産型自動巻きクロノグラフだ(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 なかでも、世界に先駆けて発表されたのがゼニスのエル・プリメロ。69年1月10日のことだ。その後クロノマチックが3月3日に発表された。一方の諏訪精巧舎はキャリバー6139を載せた“セイコー 5 スポーツ スピードタイマー”を、同年5月に世界で初めて製品化している。
 それに対してエル・プリメロの製品化は秋以降であったため、世界初の自動巻きクロノグラフモデルは、製品化していたという点で事実上はセイコーだったと言えるのだ。

文◎松本由紀(編集部)

提供元・Watch LIFE NEWS

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