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間違った相手と交配してしまう魚

魚は水が濁っていると「間違った相手」と交配し、新種を生み出してしまう
(画像=シクリッドの水槽。/Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

point

  • 熱帯魚のシクリッドは地球上でもっとも多様な種類を持つ魚で2000種以上が知られている
  • シクリッドが多様な理由は、この魚のメスが間違った相手との交尾で新種を生んでいるためと考えられる

シクリッドという種類の魚を知っているでしょうか? 別名カワスズメとも呼ばれ、アフリカ淡水湖に見られる種です。体の模様やサイズに非常に多様な種類が存在しています。

シクリッドは知られているだけでも2000種以上が存在し、ヴィクトリア湖だけでも700種以上生息していることが確認されています。

しかも、こうした多様な進化はごく最近の100万年ほどの間に起こったものだと言います。

この急速な進化と多様性について、最新の研究はシクリッドが間違った相手と交配してしまうことが原因という説を発表しています。

この研究論文は、ケンブリッジ大学の進化生物学者Joana Meier氏を筆頭とした研究チームより発表され、12月3日付けでオープンアクセスの学術雑誌「Nature Communications」に掲載されています。

The coincidence of ecological opportunity with hybridization explains rapid adaptive radiation in Lake Mweru cichlid fishes

間違った相手と交配してしまう魚

魚は水が濁っていると「間違った相手」と交配し、新種を生み出してしまう
(画像=『ナゾロジー』より 引用)

シクリッドもしくはカワスズメと画像検索すると、いろんな模様やサイズの画像が表示されると思います。

シクリッドは非常に多様性の高いアフリカ原産の魚で、最近の調査でもザンビアとコンゴの堺にあるムウェル湖で新種が40種も発見されています。

こうした1つの種が、非常に幅広い多様な種へ分かれていく現象を適応放散といいます。

なぜシクリッドがこれほど多様になったのかについて、今回の研究者は「湖ができたとき、水が非常に濁っていてよく見えなかったため、雌が相手をきちんと選べずに交配してしまったせいかもしれない」と語っているのです。

この魚の交配については、雌が主導権を握っています。雌が交配相手を正しく選別できなかったことが種の多様性をうんでしまったというのです。

どういう状況でそんな事が起こるんだ、と思うかもしれませんが、それにはこのシクリッドの変わった交配方法に原因があります。