目次
磁石振り子は予測できない動きをする
ランダムではないが予測できない「カオス現象」
point
- 磁石を使った振り子は予測できない動きをする
- 磁石振り子の動きは「カオス現象」を表わしている
通常の振り子の動きを予想するのは簡単でしょう。誰もが「おもりは同じ軌道上を何度も往復し、次第に止まる」という動きを予想できます。
しかし、単純な振り子でも、少しの要因を加えるだけで複雑な動きをするようになり、人間には予測不可能になります。
Vloggerのマークハック氏は、磁石振り子を作成しました。磁石振り子は通常の振り子の往復運動とは異なり、予想できない動きをします。
この動画は「laughingsquid」で紹介されました。
Magnetic Pendulum Randomly Moves in a Chaotic Way
磁石振り子は予測できない動きをする
磁石振り子は、鉄球のおもりと、設置された複数の磁石で作られます。設置する磁石はどれも同じ極同士にします。
1つの磁石だけであれば、磁場は下図のようになります。鉄球には単純な力しか働かないので、動きを予想しやすいでしょう。
しかし、複数の磁石がランダムに設置されると、磁場は下図のようになります。鉄球に働く力は、場所によって大きく異なります。
いくつかの磁石による干渉が、振り子に不思議な動きをさせるのです。
ランダムではないが予測できない「カオス現象」
動画の磁石振り子はランダムに動いているように思えますが、正確にはランダムではありません。
振り子は磁場などの揺るがない力学の元に作用しているので、手を放す位置が同じであれば、必ず同じ軌道で動き、同じ場所で止まります。
しかし、動画のような振り子では、手を放す位置が少しでもずれると前回とは全く異なった動きをします。これは、複雑な磁場による干渉が原因です。
初期位置を毎回まったく同じにすることは難しいので、人間には振り子がランダムに動いているように思えるのです。
このように、初期条件の僅かな変化が結果に大きな差を与える現象を「カオス現象」、その理論を「カオス理論」と呼びます。
天気予報が100%の確率で当てることができないのも、カオス現象によるものです。
自然界は磁石振り子とは比較にならないほど複雑です。全く同じ条件など起こり得ませんし、複雑な物理法則の中では、小さな要因によって結果が大きく異なってしまいます。
振り子でさえ予測できないのに、もっと複雑な天気を完全予測することなど不可能です。
磁石振り子は、一見磁石による単純なおもちゃに見えますが、カオス理論を表現する「自然力学の縮図」とも言えるのです。
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功