「スエヒロタケ」は最も複雑な「文」を作るキノコだった

キノコは「菌糸ネットワークを流れる電気信号」で会話をしている
(画像=wikipedia、『ナゾロジー』より 引用)

今回の研究で調査対象となった4種類の菌類は、食用にもなる「エノキタケ」、南極以外のほとんどに生息する「スエヒロタケ」、冬虫夏草の一種である「サナギタケ」、発光キノコの一種である通称「幽霊キノコ (Omphalotus nidiformis)」でした。

研究者たちが電気活動の分析データを比較したところ、最も複雑な「文」を作るのがスエヒロタケであり、次いでサナギタケであることが判明します。

また「文」の複雑さは菌の種類を予測できる因子でもありました。

菌類たちが異なる「文」を生成する原因として研究者たちは、種によって異なる「方言」を持つからであると述べています。

今後、研究者たちは種間の「方言」の違いや文法の解釈法を調べるとともに、分析方法の最適化を行っていく、とのこと。

もしこれらが解明されれば菌類の文法構造や構文、単語の意味が解明され、菌類の言語を解読できるかもしれません。

また重要な点として、菌類がネットワークと電気信号で情報処理を行っている場合、菌類は体全体に脳としての働きがあることになります。

だいぶクレイジーな主張にも聞こえますが、SFでは菌類が作るネットワークに知性が宿るという設定もよくみられます。

もしかしたら、そこにはある程度の真実が含まれているのかもしれません。

参考文献:Fungi May Be Communicating in a Way That Looks Uncannily Like Human Speech

元論文:Language of fungi derived from their electrical spiking activity

公開日:2022.04.08 FRIDAY

提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功