底抜けに明るい、カオス。5月14日（土）より2023年5月7日（日）まで、「中村キース・ヘリング美術館開館15周年記念展：混沌と希望」が開催される。
世界で唯一のキース・ヘリング美術館
2007年4月、ニューヨークを拠点に活躍したアーティスト「キース・ヘリング（1958〜1990）」を紹介する世界で唯一の美術館として小淵沢に開館した「中村キース・ヘリング美術館」。
コレクターである中村和男館長は、1987年にニューヨークで「スリー・リトグラフス（ピープル・ラダー）」に出会ったことでヘリング作品の蒐集を始めた。
現在「中村キース・ヘリング美術館」ではおよそ300点の作品のほか、記録写真や映像、生前に制作されたグッズなど500点以上の資料を収蔵している。
「開館15周年記念展：混沌と希望」では、新たに収蔵する作品《無題》を中心に、コレクションの核となる約150点を展示する。
「混沌から希望へ」を再考し、紐解く
「開館15周年記念展：混沌と希望」では、開館初年度の展覧会「混沌から希望へ」を再考し、そのコンセプトを紐解く。
1978年、ヒップホップ黎明期だったニューヨークに飛び込んだキース・ヘリングは、白人至上主義のアート界とマイノリティが集うアンダーグラウンドのパーティーが交差するこの街に衝撃を受ける。
それからわずか5年でスターダムにのし上がり、世界を飛び回る最中に「エイズ」を発症。未知のウイルスとの闘いの末に31歳でこの世を去った。
現在でも人々を魅了し続ける彼が遺した底抜けに明るいアートの裏には、混沌とする社会への訴えや内なる苦しみ、希望と自由への強い想いが描かれている。
価値観の多様化が求められる時代に
1980年代にヘリングが描いたアートには、2022年を生きる私たちが世界に向き合うためのヒントがあると考える。新型コロナウイルス感染症パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻によりこれまでの常識が崩壊したことから、長年水面下で渦巻いていた政治不安や社会問題が明るみになった。
ヘリングが生きた時代のように混沌と秩序、絶望と希望が混在する時代の中、私たちはどう生きるべきか考え直す分岐点にすでに立っている。ヘリングの遺した作品と向き合い、多様化する価値観のあり方を考えてみたい。
中村キース・ヘリング美術館
所在地：山梨県北杜市小淵沢町10249-7
休館日：定期休館日なし ※展示替え等のため臨時休館する場合がある
開館時間：9:00〜17:00（最終入館16:30）
観覧料：（大人）1,500円
（冨田格）
All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection.
提供元・IGNITE
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