転社と転職はどちらが良いのか?

筆者は十把一絡げに「転社より転職こそが有効だ」というつもりはない。これはその人のキャリアプランによって、有効となるアドバイスが全くといっていいほど異なるからだ。その人にとって「よい勤務先」と感じられる職場とのめぐり合わせは、究極的には「運」の要素も否定できない。ただ、色んな転職ケースを見ていると、転社より転職の方が有利になる場合が多いと感じてしまうのだ。

やりがちなのは、「今勤務している会社は安月給で、長時間労働だからダメだ。とにかく勤務先を変えよう」という安易な発想で転社してしまうことだ。上述の通り付加価値が低い業界にいる限り、転社による改善は構造上の問題から、難しいだろう。

ワークスタイルも、産業構造も大きく変化していることに加えて、企業の寿命は短くなり人々が高寿命化している。これは多くの雇用労働者にとって、キャリアジャーニーの変化は受け入れざるを得ない事実を意味する。かつての「一社に奉公しての終身雇用」「同じ業界内の横移動でキャリアアップ」が難しくなった令和時代、転社と転職への正しい認識とキャリアのプランニング力が、ビジネスマンに必要なノウハウと言えるのではないだろうか。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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