マイナーな食用魚で、最近では悪者扱いもされがちな「ブダイ」。実は美味しい魚で、地域や季節によっては珍重される存在です。
高校生が「ブダイ」の缶詰を作成
大分県臼杵市にある大分県立海洋科学高校でブダイを使った缶詰づくりが行われ、地域のニュースとなっています。
これは、日本各地の海でいま「問題」になっている魚を活用して、オリジナルの缶詰を開発するという試みのひとつ。日本財団の「LOCALFISHCANグランプリ」の一環として実施されました。
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臼杵の海では、ブダイによって海藻が食べられ、魚たちの産卵場が少なくなってしまっていることが問題となっています。生徒たちはブダイの生態や特性について学び、その後、カボスとチリソースで調理した缶詰を作りました。
参加した生徒のひとりは「缶詰を売ることによって海藻を食べるブダイが少しでも減るといいなと思う」と語ったそうです。(『高校生がブダイで缶詰制作【大分】』OBS大分放送 2021.8.30)
ブダイってどんな魚?
ブダイは、温暖な浅い海に棲む、ベラに近いグループの魚です。黒潮の当たる地域に多く生息しており、ブダイの仲間は沖縄などでは重要食用魚のひとつとなっています。
一方、本州でも四国や紀伊半島など南西部ではある程度の水揚げがありますが、漁獲されてもあまり流通に乗ることはなく、地域的な魚となっています。都心のスーパーなどで見かけることは殆どありません。
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大食漢
ブダイの最大の特徴にその「食性」があります。彼らは夏はカニなどの動物性食材を食べるのですが、冬は一転して海藻などの植物性食材を好んで食べます。そして、1日に体重のなんと2割もの海藻を食べることもある大食漢で、ブダイが大量発生するとその海域の海藻を食べ尽くしてしまうこともあります。
そのため、アイゴやニザダイと同様に、海底の砂漠化である「磯焼け」の主因と目されているのです。
ブダイは美味しいサカナ
ブダイはまた、食味において非常に毀誉褒貶の激しい魚でもあります。まずいという人もいればとても美味しいという人もおり、人気が一般的でないのが流通に乗りにくい理由です。
このようなことが起こる理由は、同じ個体でも食味が変わってしまうとされるため。ブダイには上記のような食性から、夏は磯臭く、冬は磯臭みが抜けるという特徴があるのです。
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冬の個体は刺し身をはじめ、皮のゼラチン質を生かした焼き物や鍋料理に使ってもよく、どんな料理でも美味しく食べられます。一方で夏の個体はときに強烈に臭いものがあり、ハズレを引くと食べられないほど。
それでも四国などでは酢味噌をつけて食べたり、生姜を利かせた煮付けにするなどして、年間を通してブダイを美味しく食べています。大型で歩留まりも良い魚であるブダイ、積極的に活用して磯焼け防止に貢献したいところですね!
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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