それぞれの良さを伸ばすことが重要
④プロモーション機能
- U.S.M.H:クーポン配信(カスミのみ)
- トライアル:レコメンド機能
- イオン:なし
トライアルのスマートショッピングカートにはタブレット端末が備え付けられています。スマホよりも大きな画面を使い、IDにひも付いたレコメンドを買物途中に行うことが可能です。
イオンリテールは販促用に別のアプリを活用しています。U.S.M.Hのアプリ内プロモーションが現時点でカスミだけなのも、他社は各自のアプリで行っているためです。

⑤スキャン漏れ防止
- U.S.M.H:必要に応じて店員が確認
- トライアル:自動検知アラームを搭載
- イオン:レジ前の画像検知システムを実験
トライアルが3月から導入を本格化した新型カートには、スキャンせずにカゴに入れるとそれを検知して注意を促す仕組みが加わりました。イオンリテールは、専用精算機の手前のゲートでカメラによる画像チェックをする実験を一部店舗で行っています。

顧客自身に商品スキャンをゆだねる以上、故意ではなくてもスキャン漏れが生じるリスクはあります。デリケートな問題だけに、スマートな対応策が求められるところです。
⑥店舗外での利用
- U.S.M.H:オンラインデリバリーと連動
- トライアル:なし
- イオン:なし
商品のスキャンツールなので店内で使用するのが当然ですが、U.S.M.Hのスキャン&ゴーはネットスーパーサービスの「オンラインデリバリー」と統合し、そのスキャン機能は自宅でも使えます。アプリを起動して手元にある食品をスキャンすると、オンラインに取り扱いがあれば購入候補として登録できるというものです。さらなる発展として、スキャンしたものに関連したレコメンド機能の追加もめざしています。
3者のアプローチにはそれぞれの良さがある反面、比べてみるとあらゆる面で優れているというものはないようです。つまり、どれかが勝ち残るというものではないように思います。それぞれの長所を伸ばし、課題を克服していけば、それぞれが顧客の買物体験にも店舗のオペレーション改善にも寄与するはずです。
文・宮川耕平(日本食糧新聞社)/提供元・DCSオンライン
【関連記事】
・「デジタル化と小売業の未来」#17 小売とメーカーの境目がなくなる?10年後の小売業界未来予測
・ユニクロがデジタル人材に最大年収10億円を払う理由と時代遅れのKPIが余剰在庫を量産する事実
・1000店、2000億円達成!空白の都心マーケットでまいばすけっとが成功した理由とは
・全85アカウントでスタッフが顧客と「1対1」でつながる 三越伊勢丹のSNS活用戦略とは
・キーワードは“背徳感” ベーカリー部門でもヒットの予感「ルーサーバーガー」と「マヌルパン」