横浜市で、担任をしていた4年生のクラスで、児童4人にプリントを配布しなかったり、給食を少量しか盛り付けなかったりと、差別的な行為をしていた横浜市の教員が懲戒免職となった。痛ましいが、現在もどこかの学校で起きていることだ。

報道に出た不法行為は表層の可能性が高い

教育委員会には早い段階で保護者から切実な訴えが寄せられていたはずだ。おそらく表には出せないもっと酷いことも起きていただろう。

横浜市の教員が児童をいじめて懲戒免職も再発防止を考えない深刻な理由
(画像=Hakase_/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

横浜市の教員で検索すると、ここ最近だけで、盗撮・体罰・不適切な経理など、多くの不祥事が見つかる。どうなってるのだ、SDGs未来都市・横浜。

ある教員に聞いたことだ。同学年の男性教諭に日常的に身体を触られて困っている女性教諭がいた。加害の男性教諭をなんとかしてほしいと、勇気を振り絞って女性の校長に訴えた。ところが逆に、「あなた(被害教諭)は●●先生(加害教諭)を差別している。人権侵害だ。今後二度とその話はするな」と言われたそうだ。

これもSDGs未来都市の話である。身内に対してもこのような対応である。

ようするに、教委と校長の保身で、状況が隠し切れないほど酷くなるまで問題は放置されるのである。(神戸市立東須磨小学校の事件は他人ごとではないのだ)

そもそも現場をマネジメントする気のない教育行政

現在、教委と校長は服務事故にはとてもうるさい。多いのは電子申請の不備とか、出張申請の不備とか、会計の不備である。こういうマイクロマネジメントは、もはや常軌を逸していると言ってよい。

これらの事故は複雑になりすぎたシステムによるところも大きい。役所に勤めた経験がある方ならわかると思うが、決裁や申請のシステムは使える代物ではない場合が多い。これらのチェックは現場にそうとうな負担をかけている。

一方で、根本的な児童生徒の安全にかかわる事故は隠蔽する傾向がある。

教育公務員がここまで保身になって隠蔽してしまうのは、この業界が閉鎖されているからだろう。閉鎖された組織の中で、独自ルールを運用されることほど怖いものはない。

公務員にはマネジメントという概念がない。現在の学校の機能不全は、教員の力不足と言うより、マネジメントの不在である。マネジメントの欠如は、ガバナンスの欠如でもある。暴走する職員がいても、それを組織的に止める気がないのだ。

また、学級崩壊を起こしている教員に対しても、「なんでお前はちゃんと学級をまとめられないんだ」とは言うが、どうすれば「ちゃんと」できるのかよくわかっていない校長が多い。

このため困難級はいつも同じ教員が担当することになり、実力のある教員のほうが燃え尽きて早期退職していくということも珍しいことではない。

学校の機能不全の原因を、教職の特殊性に求めているうちは、教員離れが改善されることはないだろう。マネジメントの不在を直視すべきである。

親御さんはもっとしっかりと自分の担任がどんな学級運営をしているのかを目視したほうがいい。タダほど高いものはない。(ほんとうはタダではなくかなりコスパは悪いのだが)

ただし、担任を追い詰めるのはお勧めしない。それよりも、マネジメントの不在を教育委員会に問うほうがいい。

教育現場の荒廃は深刻である。

文・中沢 良平/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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