帝国データバンクは3月30日に、「新電力会社」(登録小売電気事業者)倒産動向調査の結果を発表した。

調達価格の高騰で「新電力の倒産」が過去最多14件 事業撤退も続々
(画像=2021年度には新電力会社の倒産が過去最多となる14件発生、『BCN+R』より 引用)

 調査結果によれば、みなし小売電気事業者(旧・一般電気事業者)を除く「新電力会社」の倒産は、2021年度(2021年4月~22年3月)に14件発生している。年度を通じて、倒産が2桁に達したのは今回が初となり、前年度の2件から急増するとともに、過去最多を大幅に更新した。

 電力小売事業からの撤退や、新規申し込みの停止も相次いでおり、2021年4月に営業が確認された新電力約700社のうち、約4%となる31社が過去1年間で倒産や廃業、事業撤退などを行っている。

 新電力の収益を圧迫しているのは、エネルギー価格の高騰による電力調達コストの増大で、現在よりも高値で推移していた2021年の冬とは異なり、今回は値上がりが長期化しているうえに、短期的には値下がりの材料が乏しいことから、新電力各社の事業撤退や新規申し込みの停止、さらには経営破たんの要因となった。

調達価格の高騰で「新電力の倒産」が過去最多14件 事業撤退も続々
(画像=電力調達価格は値上がりが長期化し、今後も値下がりの材料が乏しい、『BCN+R』より 引用)

 今後も、ロシアによるウクライナへの武力侵攻を原因とした原油・液化天然ガス(LNG)の相場高騰をはじめとする、世界的なエネルギー需要のひっ迫が想定されており、発電量の多くを火力が占める日本では、さらに電気料金が値上がりする可能性があり、新電力各社も値上げなどの対応に迫られている。

 一方で、これまで安価であることを理由に差別化を図ってきた新電力各社にとって、電力調達コスト増大の十分な電気料金への転嫁は困難であることから、帝国データバンクでは今後も新電力会社の倒産が発生する可能性が高いと予測する。

提供元・BCN+R

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