3~5月の働き方を工夫すると、社会保険料が低くなると聞いたことはないだろうか。毎月の社会保険料の負担は重いため、可能ならばできるだけ抑えたいと思う方も多いだろう。この記事では社会保険料の基本的な仕組みや、3~5月がなぜ重要なのかについて解説する。保険料について改めて考えてみるための参考にしてほしい。

社会保険料における「定時決定」の仕組みとは

3~5月がなぜ重要なのかを知るには、社会保険料の「定時決定」という仕組みについて理解しておく必要がある。社会保険料をいくら支払うのかは、毎年4~6月における給与などの支給額に基づいて決められる仕組みになっており、これを定時決定と呼ぶ。

たとえば4~6月に支給された額が合計93万3,000円だとすると、3ヵ月で割った31万1,000円のことを標準報酬月額という。標準報酬月額には基本給の他に、時間外手当、通勤手当、住宅手当といったさまざまな手当も含まれることに注意が必要だ。

社会保険料はこの標準報酬月額に基づいて決められている。たとえば令和3年・東京都の厚生年金保険料額の表を見ると、標準報酬月額が31万1,000円の場合は全額で58,560円だ。厚生年金保険料は会社と労働者で折半するので、それぞれ29,280円ずつ支払うことになる。

健康保険料、介護保険料についても標準報酬月額に基づいて決定される仕組みだ。

社会保険料の負担を軽くするには3~5月の働き方がポイント

定時決定の仕組みから分かるとおり、4~6月の給料等が多いほど社会保険料が増える。この期間の給料に影響してくるのが3月~5月の働き方、つまり残業時間や休日出勤ということだ。

3~5月に残業や休日出勤が多いと4~6月の給料が増え、社会保険料の負担が増す。よって社会保険料を低くするには、この期間の残業時間を減らすのが良いということになる。

社会保険料は払うだけ損なのか?

社会保険料をたくさん支払っても何も良いことはないと思う方もいるだろう。特に日常生活に大きな問題のない方はなおさらだ。

しかし社会保険とは、現在だけでなく将来の備えという意味合いも持っていることを押さえておこう。

たとえば厚生年金保険料の支払額が多いと負担が重くなるものの、将来の年金受給額も多くなる。また事故で障害を負ったときに支給される障害年金、子供や配偶者を残して死亡した場合の遺族年金も、厚生年金保険料を多く支払えば受給額が増える。

実際に残業時間をコントロールできるのか?

そもそも、残業時間をコントロールできない方も多いのではないだろうか。イレギュラーなことが多い仕事・職場の場合、勤務時間が自分の想定どおりにいかず、顧客の都合に合わせて働かざるを得ないこともある。

また上司から実際に残業を頼まれた場合も、断るのは難しい。「社会保険料を減らしたいので3~5月は残業をしません」などと伝えたところで、上司の理解を得られる可能性はほとんどない。

むやみに残業を断ればかえって自分の評価を下げ、周囲との人間関係も悪化するリスクが大きい。社会保険料を多少節約できたとしても、失うものの大きさに見合っているとはいえない。

また会社によっては「付き合い残業」が常態化している場合もある。決して好ましい状態ではないが、自分だけ逆らうのは難しいケースもあるだろう。

社会保険料の仕組みと意義を把握しよう

社会保険料を多く支払っていた方ほど、いざというときの給付も多くなる。必ずしも払うだけ損とは限らないことが分かるだろう。またそもそも、残業時間を思いどおりに減らすのが難しい方も多い。

社会保険料の意義を踏まえると、やみくもに残業を減らそうとするのは適切ではない。仕事に支障のない範囲で、無駄な残業のカットを試みる程度で良いだろう。

文・MONEY TIMES編集部

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