
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)
違いのない区別
Distinction without a difference
自説に都合よく同一の事物を無理やり区別して結論を導く
<説明>
「違いのない区分」とは、違いのないものを無理やり区別して結論を導くという論点歪曲の誤謬であり、ストローマン論証の一つです。詭弁を使うマニピュレーターは、前提を意図的に歪曲することで自分にとって好都合な結論を導きます。
誤謬の形式
P1とP2に違いがあることを前提にして結論Cを主張する。
※実際にはP1とP2に違いはない。
<例>
<例1>
店員:ご注文どうぞ?
客:えーと、ラーメン下さい。
店員:うちは中華そばしか置いてませんけど。
日本語の慣習上、「ラーメン」と「中華そば」には違いはありません。もし店側に何らかのこだわりがあるのであれば客に説明するのが合理的です。
<例2>
部長:今日も遅刻か。
部下:通勤途中で忘れ物に気付いて家に取りに帰ったので遅れました。
部長:今日も忘れ物をしたのか。
部下:忘れ物を取りに帰って持って来たので忘れ物はしていません。
部下が忘れ物をしたことに違いはありません。「違いのない区別」はしばしば、【弁解 excuse】(=加害を認めるが責任を認めない)や【正当化 justification】(=責任を認めるが加害を認めない)に悪用されます。