たまに山林に埋められていた死体が散策していた人に偶然発見された、というニュースを見かけることがあります。

それを聞いて、この手の事件って見つかってないだけでたくさんあるんじゃない? と嫌な想像が働く人は多いでしょう。

実際、森の中に死体を隠されてしまうと捜索して発見することは非常に困難になります。

今回、そんな問題を解決するための研究が、植物に関する科学雑誌『Trends in Plant Science』に9月3日付けで発表されました。

なんで植物の科学雑誌? と思う人もいるかもしれません。森に隠された死体を見つける研究をしたのは、科学捜査のプロフェッショナルではなく、植物学者だったのです。

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テネシー州 死体農場の見学

テネシー州 死体農場の見学

今回の研究チームの1人、テネシー大学の研究者ニール・スチュワート(英: Neil Stewart)教授は、死体よりジャガイモを扱うことに慣れた植物学者です。

テネシー大学には法医学研究のために、さまざまな環境条件で起きる死体の腐敗を観察する有名な施設「死体農場(英: body farm)」があります。

「植物の変化」から”森に隠された死体”を発見する研究
(画像=この画像はイメージです。/Credit:depositphotos,『ナゾロジー』より 引用)

スチュワート教授はここを見学したとき、あまりにもグロいので少し遺体から視線をそらして近くの低木を見つめていました。そのとき、彼はひらめいたといいます。

ここで育つ植物は、人間の分解された成分に影響されて他とは異なる特徴を示すのではないだろうか?

それが植物学者でありながら、彼を犯罪捜査の研究へ引き込んだきっかけになりました。

人間が地面の上や内部で腐敗すると、自然の分解サイクルに組み込まれて、周囲の土壌に微生物や化学物質を供給することになります。

これらの栄養素は、近くの植物に吸収され植物の外観を変える可能性があるのです。