フィールズ賞をご存知でしょうか?

フィールズ賞は「数学のノーベル賞」と呼ばれる賞で、オリンピックのように4年に一度だけ受賞者が決まります。しかも、受賞者は40歳以下に限定されているという、超狭き関門!

そんな世界トップの天才しか受賞できないフィールズ賞。 日本人初の受賞者は小平邦彦でした。彼の数学の捉え方はとてもユニーク。「数覚」という感覚を使い、数学の世界を見ていたのです。

数学を知覚する第六感「数覚」

数学を知覚する「数覚」とは?日本人フィールズ賞受賞者が提唱した第六感に迫る
credit: 日本数学会、小平邦彦生誕百年記念事業(画像=『ナゾロジー』より)

小平は、東京大学理学部数学科を卒業後、なんと物理学科にも入学してしまうという数学と物理のスペシャリスト。そんな小平は「物理的現象のように、数学的現象も実在する」と考えました。

例えば、「ボールが落下する」「水面に波紋ができる」というような、多くの物理的現象を私たちは五感を通じて知覚することができます。

では、数学はどうでしょうか?例えば、数学では「無限大」をよく使いますが、「無限大」という存在を、私たちは五感で知覚することはできません。

小平は、五感で知覚できない抽象的な数学的現象を「実在するもの」と考え、数学的現象を知覚する特別な感覚のことを「数覚」と呼びました。

小平のエッセイには、以下のように書かれています。

「数学を理解するということは、その数学的現象を『見る』ことである。『見る』というのは勿論目で見るのとは異なるが、ある種の感覚によって知覚することである。」

(「怠け数学者の記」より)