入社式訓示にみるオトナの目線

4月1日に一斉に入社式が行われました。日本独特の儀式で社歌を歌うところもあるのでしょう。上司や今後出てくる部下にも「さん付け」をするのに同期の人にだけは苗字呼び捨てOKという文化もこれまたオツなのでしょうか? 産経の「新入社員だけではもったいない 入社式で社長が語った深イイ〝人生訓〟」をざっと見ると社長の訓示には概ねキーワードがあります。夢(バンナム)、強さ(ローソン)、失敗経験(楽天)、自信(トヨタ)、社会人の姿勢(グンゼ)、自由闊達(三菱マ)などなどが並びます。

これらの訓示はある意味、ごく当たり前の話で、私からすれば今更それを言うか、という気もしますが、逆に人生20年前後過ごしてきた新入社員諸君はノホホンと過ごし、いつの間にか社会人になっていた人が大半という世相を表しているとも言えそうです。家庭では我儘、学校では気があう人とだけ付き合うという生活をしてきました。会社組織は多くの先輩、そして嫌な人、苦手な人が主流な中で今までの楽しかったストレスフリーライフとは完全に縁が切れるのです。

ところで先日、ある現役東大生に就職トレンドを伺いました。役人は全く人気なく、起業する人も周りにはそんなにいないと。ではYouは何処へ、と聞けば「一流企業」を目指すようです。東大に入っても一流企業というのも腑に落ちません。超一流企業に行けば東大卒はごろごろいますが、東大卒がビジネスができるという保証もないのです。東大だからこそ目指す異次元があってもいいのかなぁ、と。それにしても各社社長さんの訓示を通して見えたのは「腫れ物に触る気持ち」だったかもしれません。

後記
住宅の管理組合の英国人会長と私、それと私が雇うインド人のコンサルで絶対に合意を取り付けねばならないかなり神経質なミーティング。コンサル氏とは前日に事前の戦略を打ち合わせ、私も更に考え、落としどころのオプションを2-3つもって会議に臨みました。小うるさい英国人独特の屁理屈をうまくかわし、最後、説得出来ました。たかがミーティング一つでも自分の絶対に持っていきたい方向を定めた戦略が必要だと改めて思いました。会議に臨んでから「どうしようか」ではなく、こうするという明白な目標設定が重要だと改めて感じたところです。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年4月2日の記事より転載させていただきました。

文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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