青潮が発生する原理
東京湾のような富栄養化した海域にはもともとプランクトンが大量に生息しているのですが、彼らは死ぬと海底にたまり、バクテリアによって分解されます。大量の死骸が分解される過程でバクテリアが大量の酸素を消費し、その結果海底付近に酸素含有量が非常に少ない海水の塊(貧酸素水塊)が形成されます。
貧酸素水塊の中では嫌気性細菌たちが活発に活動しているのですが、彼らは硫化水素を発生させます。そのため、貧酸素水塊には硫化水素が大量に含まれた状態になります。

(画像=東京湾の沖合には大量の窪地がある(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より 引用)
その状態で陸からの風が吹くと、浅い水域の表層海水が沖に向かって流され、それを埋めるように海底の貧酸素水塊が水面まで上がってきます。このとき、硫化水素が酸素と結びつき、硫黄酸化物の微粒子を形成します。これが太陽光を反射し、青白く見えます。これが青潮と呼ばれる理由です。
仮に海底に窪地があると、その中は海水の滞留が起こりにくくなるため、貧酸素水塊が形成されやすくなります。東京湾にはかつて湾岸の埋め立てに用いるために海底の砂をとったことによってできた穴がいくつもあると言われ、それが青潮の原因になっているという説もあります。海水の富栄養化も含め、青潮は人の経済活動によって起こされた「人災」であるとも言えるかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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