昨日30日、アメリカの人気俳優であるブルース・ウィリス氏(67)が、「失語症」の発症により、俳優業を引退することになったと報道されました。
娘のルーマー・ウィリス氏は、自身のInstagramにて、「ブルースは以前から健康上の問題を抱えており、最近、失語症と診断された」と報告。
「熟慮の結果、ブルースは彼にとって大きな意味を持つキャリアから離れることを決断しました。
私たち家族にとって本当に困難な時期ですが、皆様の継続的な愛、思いやり、サポートにとても感謝している」と綴っています。
この報告は、妻のエマ・ヘミング氏と5人の子どもの他、元妻で俳優のデミ・ムーア氏の連名で投稿されました。
まだまだ活躍していた中での突然のニュースに驚きを隠せませんが、彼を襲った「失語症」とは、一体どんな病気なのでしょうか。
また、回復は可能なのでしょうか。
「失語症」ってどんな病気? 治療は可能か
失語症(aphasia)は、ひとことで言うと、脳の損傷により、「話す・聞く・読む・書く」といった言語能力に障害が出る状態です。
脳卒中や脳腫瘍、事故による頭部外傷が、おもな発症原因とされています。
とくに、脳卒中と頭部外傷の直後に失語症を発症するケースが多いようですが、ブルース氏の場合は、どちらも報告されていないという。
アメリカでは少なくとも200万人の失語症患者がおり、毎年約18万人が新たに失語症と診断されています。
日本でも年々増加の傾向にあり、2017年時点で、約50万人の患者が確認されています。
おもな症状と、維持される能力は?
また、失語症と似た症状に「構音障害」がありますが、こちらは、脳の「運動中枢」に障害が起きることが原因です。
そのため、言葉を発する器官に問題が生じ、口が動かなかったり、発声がうまくできなくなります。
一方の失語症は「言語中枢」へのダメージが原因で生じるため、口を動かす機能は保たれています。
しかし、言語を操ったり、理解する機能に問題が生じるので、今までのようなコミュニケーションは困難です。
症状には個人差がありますが、だいたい以下のようなものが挙げられます。
・言葉の音の区別や意味が理解できなくなる
・言いたい言葉が思い浮かばなくなり、違った言葉が出てくる
・相手の話した内容を頭にとどめるのが難しくなる
・人や物、場所の名前、時間や日時などの数字を聞き間違う
・集中力が低下し、一度に2つ以上のことに注意を向けることが難しくなり、疲れやすくなる
これらは失語症のほんの一部ですが、どれも俳優を続けていくには厳しい症状です。
一方で、失語症は、ただ言葉が操れなくなったり、内容が理解できなくなる言語障害であり、認知症や精神障害ではありません。
そのため、その人の性格や、過去を思い出し新しいことを記憶する機能、日常的なあいさつ、状況を判断する能力などは維持されます。
リハビリで回復は可能
失語症は、治癒不能の病気ではなく、リハビリ次第で症状の進行を遅らせたり、状態を回復させることが可能です。
リハビリ法は、「話す・聞く・読む・書く」に関わるトレーニングがメインとなります。
簡単な言葉を発したり、自分の名前や物の名前を紙に書き出すのも効果的です。
筆記でも音読でも、とにかく言葉をアウトプットすることが有効とされます。
失語症は、発症の早い段階からリハビリすることで回復率が高まり、脳血管疾患が原因の場合、1年で約40%は改善すると言われています。
まとめ
ブルース・ウィリス氏は、『アルマゲドン』(1998年)や『シックス・センス』(1999年)、『エクスペンダブルズ』シリーズなど、数多くの人気作に出演しています。
80年代から現在にいたるまで隙間なく活躍しているため、世代ごとに思い入れのある作品も違うでしょう。
とくに、彼の代表作である『ダイ・ハード』シリーズは、1988年〜2013年まで5作も製作されています。
「ダイ・ハード(Die Hard)」とは、”なかなか死なない”とか、”不死身”といった意味合いがあり、どんなにボロボロにされても、敵に立ち向かうブルース・ウィリスの勇姿が印象的でした。
ファンとしては、今回もウィリス氏が病気を乗り越え、いつかスクリーンに帰ってきてくれる日を願うばかりです。
参考文献
BRUCE WILLIS IS HALTING HIS MOVIE CAREER DUE TO APHASIA. HERE’S WHAT THAT MEANS
Bruce Willis gives up acting due to brain disorder aphasia
提供元・ナゾロジー
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