ニートの中には、ただ単に働くことから逃げている人もいれば、働きたくても精神的に抵抗があり働けない人もいます。
精神疾患にはうつ病や統合失調症など様々な病気がありますが、中でもよく知られているのが「うつ病」です。
ニートでうつ病などの精神疾患を抱えている場合、今すぐに社会復帰を目指すのではなく、心のケアや病気の治療を行い健康状態を整えることからスタートする必要があります。
では、一体どのようにして精神疾患に対処していけばよいのでしょう。
この記事ではうつ病のニートに注目し、
- ニートでうつ病を発症している方の割合
- なぜうつ病を発症してしまうのか
- うつ病のニートが社会復帰を目指すための方法
について解説していきます。
精神疾患をかかえるニートの方や、そのご家族の方にぜひ読んでいただきたい内容です。
目次
ニートでうつ(鬱)病を発症している方の割合
ニートでうつ(鬱)病等の精神疾患がある方の2大要素
ニートでうつ(鬱)病を発症している方の割合

ニートの中にはうつ病を患う人もいると言っても、どのくらいの人がうつ病になっているのかが分からなければイメージしづらいもの。
まずはこの章で、一体どのくらいの割合のニートがうつ病を発症しているのかを見ていきましょう。
ユーくん 確かにうつ病でニートになっている人の割合なんて想像もつかないもんなぁ。これは知っておきたい!
日本全国約110カ所の精神科診療所に来院した65歳未満の患者3768人を対象に行なった調査結果によると、うつ病でニートの人の数は173人という結果。
参考:約半数が10年以上抜け出せない!外出は通院だけの「外来ニート」の実態
つまり、精神科に通う人のうち、うつ病でニートの人の割合は4.6%ほどとなります。
ダルマちゃん 割合としてはそれほど多くないと思うでしょ。
ユーくん 確かに100人中5人もいないって考えたら少ないかも。
ここで参考までに知っておきたいのが、全国のうつ病患者の割合です。
過去12ヶ月の間にうつ病を発症した人の割合は全体で見て1%〜2%というデータがあります。
参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」
うつ病全体の割合が1%~2%であるにも関わらず、ニートでうつ病と診断される人の割合は4.6%と2倍以上。
ここで考えられるのは、「ニートになるとうつ病を発症しやすくなる」という仮説。
しかし、うつ病が原因でニートになる場合もあるため、一概には言えません。
ダルマちゃん うつ病になったからニートになった人とニートになったことでうつ病を発症した人の率までは分からないからね。
何にしても、ひきこもり状態を続けているニートが、うつ病を発症しやすくなる可能性は大いにあり得るということです。
ニートでうつ(鬱)病等の精神疾患がある方の2大要素

ニートでうつ病を発症している方に注目していると、そこには2つの要素があることが見えてきます。
この章では、ニートでうつ病を発症する方の生活スタイルに見える特徴を2つ紹介します。
1.家族と同居している
ニートは収入がないため、実家暮らしで親に養ってもらっているケースが非常に多いのが特徴です。
うつ病を抱えるニートのうち、約8割が家族と同居していると言います。
参考:約半数が10年以上抜け出せない!外出は通院だけの「外来ニート」の実態
ダルマちゃん ニートでかつ精神疾患も抱えているとなれば、一人では暮らしていけないのは容易に想像できるよね。
うつ病のニートの生活において、人との関わりは「家族のみ」に限定されていることになります。
しかし、うつ病を克服するにあたり、何らかの社会活動に参加することは必要なステップと考えられています。
ユーくん 確かに、家の中で家族としか顔を合わせない生活だと、社会性はどんどん失われていくよね‥。
家族同居が一概に良くないこととは言いませんが、うつ病のニートがうつ病を克服し、社会復帰する上では必ずしも「ベストな生活環境」であるとは言えません。
2.家族が生活面で全面的にサポートしている
うつ病を発症するニートの多くは家族と同居しているだけでなく、日々の生活の面倒をほぼ家族にサポートしてもらっているケースが多いです。
ニートは収入がないため、金銭的なサポートを受けているのはもちろんのこと、家族のサポートはそこに留まりません。
ユーくん 身の回りの世話まで家族がしているってこと?
ダルマちゃん そう。日々の家事、洗濯や掃除、食事の支度など全てだよ。
家族はうつ病を患う我が子を思い、少しでも快適な生活ができるようにとあれこれ世話を焼きがちです。
しかし、身の回りの世話を全て家族がするとなると、いよいよ自分ですべきことが何一つなくなってしまうのは深刻な問題と言えます。
ダルマちゃん 例えば自分の部屋の掃除とか、毎日洗濯だけは手伝うとか、「自分の仕事」を持っておくことは大事なんだ。
ユーくん 過保護に家族がサポートしすぎると逆効果になっちゃうこともあるってことだね。
しかし、一方で「うつ病が理由で難しいと感じる家事もある」のは確かです。
心に負担のかからなない範囲で、「やれることは自分でする」ように意識することが大事なポイントです。