TelluMarketから無料購入して利用できるバイオーム(Biome)APIを使うと、日本全国の特定外来生物の出現情報を取得することができます。特定外来生物の中から、ヌートリアと呼ばれる動物の出現場所の特徴を衛星データと組み合わせて考察してみたいと思います。
1.ヌートリアとは
ヌートリアという動物を、ご存知でしょうか。主に西日本で分布域を広げているネズミの一種で、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)による侵略的外来生物に指定されています。今後日本で広がった場合、生態系への影響が懸念される動物です。

ヌートリアは、南アメリカが原産です。1930年代に毛皮製品を作る目的で輸入されましたが、戦後になると毛皮需要が縮小したために飼育が放棄され、その後野生化しました。高い繁殖力に加え、日本では特に天敵がいないため個体数が年々増加しています。
土手や堤防等に複数の巣穴を掘り、水面上に水生植物を集めて「プラットホーム」という浮巣を作って暮らします。寒さには、それほど強くないといわれており、冬期に河川が凍結するような地域では生存できません。
草食性で、ホテイアオイ、ヨシ、ヒシなどの茎や根、葉を食べますが、貝や魚類を食べることもあります。また、ジャガイモやにんじんなどの農作物も食べるので、生息地周辺の農業への被害も深刻で、平成20年度の被害額は全国で1億2千万円以上にもなったそうです。
また、農作物以外でも、電源ケーブルをかじって断線させたり、穴を掘って堤防を壊したりする厄介者です。
ヌートリアに関しては、バイオーム社の下記の記事でも紹介されています。記事中でヌートリアの姿を捉えた写真も掲載されていますので、ぜひその姿を確認してみてください
このヌートリアの生息地について、バイオームデータと衛星データを使ってその特徴を考察してみたいと思います。
2.検出方法と使用するデータの説明
バイオームのAPIから、特定外来生物のうちヌートリアに該当するものだけを抽出します。次に地図上にヌートリアの出現場所をプロットし、その分布を確認します。その後ヌートリアがよく目撃されている場所付近の特徴を衛星データと照らし合わせて確認します。
今回はASNARO-1の衛星画像から植生分布を生成し、ヌートリアの出現場所と植生の関係について考察しました。