平均点、平均年収、平均身長…色々な場面で使われている「平均値」。あなたは、どんなイメージを持っていますか?

あるクラスで、数学のテストの平均点が70点だったときに

「じゃあ、70点くらいの人が一番多いんだ」

「クラスの真ん中の順位の人の点数が70点くらいってことか」

と感じてしまう人、要注意かもしれません!

実は、平均値を考えるときに、気を付けなければならない場合があるのです。今回は、その例を2つ紹介します。

また、最後には、平成29年に厚生労働省が調査した「所得分布」を実例として見ていきます。

平均所得金額は560万2000円とのことですが、果たしてどう読み解けば良いのでしょうか?

目次
平均値に要注意!お金持ちなのは一人だけ「極端な値がある場合」
高・低、真っ二つ!「格差がある場合」
中央値と最頻値を知っておこう!

平均値に要注意!お金持ちなのは一人だけ「極端な値がある場合」

平均値にだまされてる?「平均点が70点だから、そのくらいの点数が多いんだな」と思った人は要注意
(画像=お金の格差 / credit:pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

例えば、4人の年収がそれぞれ

Aさん:320万円
Bさん:400万円
Cさん:460万円
Dさん:520万円

であったとしましょう。このときの4人の平均年収は

(3200000+4000000+4600000+5200000 ) ÷ 4 = 4250000

なので、425万円となります。なんとなくイメージに合っていますよね。

ここに、お金持ちのEさんを加えてみましょう。Eさんの年収は2億円だとします。

Aさん:320万円
Bさん:400万円
Cさん:460万円
Dさん:520万円
Eさん:2億円

ここで、この5人の平均年収を計算すると・・・

(3200000+4000000+4600000+5200000+200000000) ÷ 5 = 43400000

なので、4340万円となるのです。

つまり「この5人グループの平均年収は4340万円」と言えてしまうことになります。

こう書くと「この5人グループ、お金持ちだ!」と思ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、実際にお金持ちなのはEさんだけです。

また、「平均値(4340万円)くらいの年収の人」は、この5人グループの中には存在しません。

さらに、5人の中で年収の順位が真ん中であるCさんの年収は460万円ですが、平均年収からはかけ離れています。

このように、極端な値があると、平均値はそれに引っ張られて、大きくなりすぎたり小さくなりすぎたりしてしまうのです。

今回のケースでは平均値を「このグループを表す値」と考えることは、適切とは言えないでしょう。

高・低、真っ二つ!「格差がある場合」

平均値にだまされてる?「平均点が70点だから、そのくらいの点数が多いんだな」と思った人は要注意
(画像=credit:pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

例えば、7人のテストの点数がそれぞれ

Aさん:14点
Bさん:19点
Cさん:21点
Dさん:28点
Eさん:91点
Fさん:98点
Gさん:100点

であったとしましょう。このときの7人の平均点を計算すると…

(14+19+21+28+91+98+100) ÷ 7 = 53

なので、53点となります。

しかし、「平均点(53点)くらいの人」は、この7人グループの中には存在しません。

また、点数の順位が真ん中であるDさんの点数は28点で、平均点とは25点も差があります。

Aさん・Bさん・Cさん・Dさんの「低い点数のグループ」とEさん・Fさん・Gさんの「高い点数のグループ」にバッサリと分かれているのが実情で、平均点は、「低い点数のグループ」と「高い点数のグループ」の間にある値になってしまっています。

このように、格差がある場合も、平均値を「このグループを表す値」とすることは、適切とは言いにくいでしょう。