逆転の発想

一度覚えた物事の関連性を逆転させて考えるというのは、一見簡単なことであるように思える。しかし、物事の可逆性を理解するというのは実は意外と高度な思考であるようだ。

教育の研究でも、子供にものの「操作」や「逆転の行動」を理解させることは精神発達に非常に有効であると報告されている。

スイッチを入れてライトが光るおもちゃを子供に与えた場合、逆に操作すればライトは消えると判断できるようになる。また、コップに入れたミルクをひっくり返してしまうと、元に戻すことはできないということも理解する。

こうした思考は行動の順当、逆転の関係を理解することで鍛えられ、自然と想像力の発達に繋がっていく。

しかし、ミツバチはこの順当、逆転の関係が理解できないようだ。

こうした、非常に小さい脳しか持たない昆虫の思考動作を研究することは、我々が高度な思考だと考えているものが、実は非常に単純なアルゴリズムで実現できる可能性を提示してくれる。それと同時に、我々がとても簡単なことだと考えていたことが、実はとても高度で再現が難しい思考であることも提示してくれるのだ。

立て続けにミツバチの知力に関する研究報告をされると、なんでこのチームはミツバチの知力をそんな必死に研究しているんだ、と思わないでもないが、実は彼らは非常に意義のある研究しているのだ。

これは人工知能の開発や、人間の脳の発達や思考についても、有意な知見を提示してくれるのだ。

ミツバチが2つの刺激の関連を逆転できない理由は現在のところ不明だという。しかし、彼らにしてみれば「その発想はなかった」と言うことなのだろう。

ミツバチは数と記号を関連付けられることがわかる
(画像=©集英社 ジョジョの奇妙な冒険、『ナゾロジー』より引用)

逆に考えるんだ。

ポジティブになれる魔法の言葉は、やはり天才の発想だったようだ。

reference:rmit,phys/written by KAIN

提供元・ナゾロジー

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