3. 実は若い世代の子供の数は増えている!!

それでは、少子高齢化が叫ばれる中、子供の数はどのような変化があるのでしょうか?

なぜ家計は消費を減らすのか?
(画像=図5 日本 家計 18歳未満人員
家計調査 家計収支編より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図5が18歳未満人員のグラフです。つまり、同居する家族の中で18歳未満の人(基本的には子供)の数を表します。

30歳未満の世代で0.93人→1.00人、30代で1.51→1.65人とわずかながら増加傾向のようです!
一方で40代は1.54人→1.48人と減少しています。50代は0.31人→0.49人です。

18歳未満の人数なので、晩婚化によりこの年代で18歳未満の子供の割合が増えている可能性もありますね。

この統計データはあくまでも2人以上の勤労者世帯で、基本的には結婚している世帯が前提となります。少子化が進んでいる事は事実ですが、このように結婚している世帯では子供の数はむしろ増加傾向であるという事は非常に重要な事実ではないでしょうか。

逆に言えば、それだけ非婚化が進んでいるという事も考えられますね。

そして、なぜ結婚しないかと言えば、価値観の多様化もありますが、経済的な不安などから結婚しない人が多い面も大きいようです。

【参考記事】 はたして結婚は贅沢なのか!?

4. こづかい激減という悲しい現実

日本の家計では、このように若年世代の持家率、共働き率の上昇が顕著にみられます。
これにより、確かに実支出外のローン返済が増えているという面が考えられますね。

ただ、前々回見た通り、それ以上に日本の家計は支出を絞っているようです。

そのうちで大きな項目が「こづかい」と「交際費」です。

なぜ家計は消費を減らすのか?
(画像=図6 日本 家計 こづかい
家計調査 家計収支編 より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図6がこづかい(使途不明)のグラフです。

なんと全ての世代で激減しています。。。合っているかどうか何度も確認したのですが、間違いはなさそうです。

実際には「こづかい制」の家計が減っているのかもしれません。

ただ、他の支出がそれほど大きく変化がない中で、こづかい的な用途の支出がこれだけ減っているのも事実ですね。

支出の中で絞れる部分は絞っている、という印象を受けます。

なぜ家計は消費を減らすのか?
(画像=図7 日本 家計 交際費
家計調査 家計収支編 より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

図7は交際費のグラフです。

こちらも全年代で激減しています。特に高齢層で顕著ですね。

もちろん2021年はコロナ禍の真っ最中ですので、一層交際費の減少が目立ったとは思います。2019年のデータも確認してみましたが、大きく減少している傾向は同じなようです。

やはり削減できそうな部分から削減しているようですね。

もちろん、サブスクサービスの普及で都度課金から一括払いとなり、トータルとして支出が減っている面もあると思います。あるいは、無料や安価で楽しめるサービスなども増え、余暇の楽しみ方が変化しているかもしれませんね。

特に携帯電話やSNS、オンラインミーティングの普及でわざわざ会いに行かなくても、自宅で手軽にコミュニケーションできるようになった結果、それにかかわる支出が不要になったという面もあるかもしれません。

家計の変化は大きく次のような傾向にあります。

・ 世帯主の収入減少
・ 共働きの増加
・ 世帯収入の大幅な増加
・ 社会保険料等非消費支出の増加
・ 消費支出の減少(こづかい、交際費など)
・ 特に若年世代の持家率とローンの増加

家計の消費が大きく減少している要因の一つは、持家率の増加によって住宅ローン返済が増えている事が考えられます。ただし、それ以上に家計収入が増えているにもかかわらず、消費支出が減少しています。

世帯主の収入が減り、将来不安もある中で、絞れる支出は絞ろうというマインドが働いている可能性もあるかもしれませんね。何とか我慢をしながら、貯蓄を増やそうとしているのかもしれません。

少なくとも消費を増やす実質的な余力は、この層では増えているように思います。それをさらに消費に向かわせるためには、まずは世帯主の所得向上と安定した雇用という、将来への安心感が必要なのかもしれませんね。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

文・小川 真由/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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