世界中のロケット打上事業者と協業して衛星ライドシェアサービスを展開しているSpaceflight, Inc.が、SpaceXのRideshare Teamから小型衛星事業者への今後のサービス連携終了の通達に対するコメントを発表しました。本件に関して、SpaceXから正式な発表はありません。

Spaceflight, Inc.は元々、Spaceflight Industriesの子会社でしたが、2020年2月に三井物産と山佐が買収しています。現在は三井物産エアロスペースが日本総代理店を務めていますが、Spaceflight, Inc.は買収後も米国で小型人工衛星のライドシェア事業を継続させています。

Spaceflight, Inc.は同社が開発する軌道投入機Sherpa-LTC1を、2022年1月に実施予定のSpaceXの小型衛星ライドシェアミッションであるTransporter-3に搭載予定でしたが、燃料漏れが発生したためSpaceXのミッションには搭載されませんでした。Transporter-3ミッションは、Sherpa-LTC1を使用せずに合計105機の小型衛星を軌道投入させました。

その後、2022年4月に実施予定のTransporter-4ミッションでSherpa-LTC1を搭載する予定でしたが、SpaceXはSherpa-LTC1を必要な技術的な試験を通過できなかったとして搭載を見送っています。

SpaceXのサイトを確認すると、太陽同期軌道(SSO)への最低打ち上げ費用は110万ドル(約1.1億円)とあり、200kgのペイロードでも50kgのペイロードでも110万ドルを支払う必要があります。Spaceflight, Inc.はこの打上げ費用をSpaceXから購入し、小型衛星事業者に必要な分の打ち上げ枠を分割し代理店として販売します。したがって、200kg以下の小型衛星を打ち上げたい企業は代理店であるSpaceflight, Inc.を通して必要な分の打ち上げ枠のみを購入する方がコストを抑えることができます。

Spaceflight, Inc.と同様のサービスを展開する企業として、ExolaunchやD-orbitなどがあり、Transporter-3で小型SAR衛星を打ち上げたICEYEは、代理店としてExolaunchのサービスを利用していました。SpaceX側は発表してませんが、今後ほかの事業者に対しても連携終了を発表することがあるのでしょうか。

Spaceflight, Inc.のCEOであるCurt Blake氏は、今回のSpaceXの通達について以下のコメントを発表しています。

We are surprised and disappointed by SpaceX’s decision. We will continue to work with them on our current missions as planned, and hope to work with SpaceX again in the future.
(訳:我々はSpaceXの決断に驚き失望しています。我々は、現在のミッションについては予定通りSpaceXと協力し、将来的にSpaceXと再び一緒に仕事ができるようにしたいと考えています。)

ライドシェアミッションを使用する小型衛星事業者にとって、代理店の存在は重要です。今回の件で、小型衛星事業者の打ち上げニーズにどのような影響が出るのでしょうか。

提供元・宙畑

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