2022年も厳しい状況は変わらず

22年決算の進捗状況は、期中で個別の業績を明らかにしている主要百貨店のうち、営業黒字は阪急阪神百貨店の1社のみとなっている(約10億円)。

売上業界トップの高島屋は第2四半期時点で営業赤字68億円、三越伊勢丹は第2四半期の営業赤字は48億円になり、同時に業績の下方修正も行った。そごう・西武は第3四半期累計で営業赤字63億円、大丸松坂屋百貨店は同時期の累計で収益状況を大きく改善させているが営業黒字への反転にまでは至っていない。

百貨店主要各社は、第4四半期に業績回復を見込んでいる。しかし、多くが営業赤字幅の縮小にとどまり、通期予想で営業黒字を見込むのは阪急阪神百貨店だけだ(2億円)。同社では建て替え工事を進めていた「阪神梅田本店」が、22年春に地下食料品売場を拡大し、いよいよグランドオープンする。

日本百貨店協会の公表資料によると、22年に入ってからの状況は、どん底状態からは少しずつ脱しかけているとんことだが、高級ブランド、時計、宝飾品など高額商材が大きく伸長し、大都市店と地方店との格差も拡大するなど、百貨店が高質な商品とともに文化の香りを広く伝えてきたモデルに別れを告げ、ごく一部の限られた層に依存するモデルに向かってしまうのだろうか。

提供元・DCSオンライン

【関連記事】
「デジタル化と小売業の未来」#17 小売とメーカーの境目がなくなる?10年後の小売業界未来予測
ユニクロがデジタル人材に最大年収10億円を払う理由と時代遅れのKPIが余剰在庫を量産する事実
1000店、2000億円達成!空白の都心マーケットでまいばすけっとが成功した理由とは
全85アカウントでスタッフが顧客と「1対1」でつながる 三越伊勢丹のSNS活用戦略とは
キーワードは“背徳感” ベーカリー部門でもヒットの予感「ルーサーバーガー」と「マヌルパン」