ランドネでは3日間にわたり、久しぶりの山でうっかりということがないように、心の準備に役立つ記事をアップしていきました。最終回の今日は、しばらくぶりに山を目指す前の計画・準備段階で気をつけたいことを、登山ガイドの栗田朋恵さんとランドネ編集部がいっしょに考えていきます。
ステイホームが自分自身にもたらす影響
ランドネ編集部:日に日に暖かくなっていますし、山へ行きたい気持ちは大きくなるばかりなのですが、ずいぶんと感覚が鈍っているような気がして、不安です。
栗田 :そうですね。これまで感覚的にできていたことでも、忘れてしまっていることが多々あると思います。
たとえば、装備でいえば、必要なアイテム一式がまとまっていて、それらをバックパックに詰めるだけでよかったことが、その習慣から離れているうちに、初歩的なことで確認を漏らしてしまったりします。日焼け止めや帽子、手袋を忘れたり、シューズに合わない靴下を選んでしまったり……。登山靴のソールが剥がれかけていたり、レインウエアがカビてしまっていたりするかもしれません。初心に戻って、一式を並べてみてください。そうしてアイテムに触れているうちに蘇ってくる感覚があると思います。
ランドネ編集部:なるほど。持ちものの準備にもしっかりと時間をかける必要がありますね。目指す山やルートの選び方にも、注意が必要でしょうか?
栗田 :去年の同じ時期の山行と、初めから同じことを目指さなくていいと思います。朝早く起きて、体を動かす、ということだけでも、辛くなっているかもしれません。自分に合った歩くスピードを忘れて、遅くなったり早くなったりしてしまうかもしれません。つい楽しくて、おしゃべりに夢中になるあまり、分岐を間違えたり、ランチタイムが長引いたり…なんてこともあるかもしれませんね。水を飲むタイミングや量、ウエアの脱ぎ着で体温調整する感覚も、まだ戻っていないかもしれません。
息が上がったら、足を止めて、こまめに水を摂り、行動食を食べる。暑いなと思ったら一枚ウエアを脱ぐ。そんな当たり前のようにしていたことを少しずつ思い出しながら、ゆっくり始めていけるといいと思います。
ランドネ編集部:体力も、知らず知らずのうちに落ちている気がしています。
栗田 :そうですね。そもそも太陽の下で過ごす時間が、例年に比べて圧倒的に少なくなっているはずです。久しぶりに紫外線を浴びたり、風に当たったりするだけで、疲労を感じたりします。風を強く受けたり、気温が上下したりという自然ならではの変化に体を慣らすことも必要ですね。たとえば公園やベランダでピクニックしてみたりと、外に滞在する時間を徐々に増やしていきましょう。
山へ向かう前に、自然のなかで過ごす時間を楽しむ
ランドネ編集部:なるほど、まずは体慣らしに低山から、と思っていましたが、その前の段階が必要ですね。
栗田 :はい。まずは、久しぶりに自然のなかで過ごす時間を楽しむところから始めてみましょうか。これから先は、気温と湿度が高い季節へと移り変わっていきます。例年であれば、春のあいだに少しずつ、体が汗をかく準備を整えていって、体温が上がると自然と汗をかける体になります。でも今年は、汗をかく機能ひとつとっても、すぐには満足に働かないかもしれません。
ランドネ編集部:体にも準備が必要なんですね。
栗田 :そうですね。たとえば3日間ぐらい座りっぱなしで過ごしていると、ちょっとした散歩でも息が上がってしまったりします。それに、体重の変化も、直に足にくるものです。散歩をするときには平坦な道ばかりではなく、たとえば神社にあるような長い階段を登ってみてください。片足に重心をのせて、体を上に持ち上げる動きは、山での実践に近いですからね。それに、50分や1時間程度、歩き続ける集中力もなくなっているかもしれません。知らず知らずのうちに身につけてきた精神的な”体力”も取り戻す必要があります。
ランドネ編集部:山へ向かうのは、その先ですね!
栗田 :はい。これから夏山シーズンがやってきて、つい出かけたくなってウズウズしてしまうかもしれませんが、まずは感覚と体力を取り戻す「プレハイキング」の計画を立ててみましょう。
コースタイム3時間の山登りをしていた方は、ワンランク難易度を下げて、1~2時間程度から始めてはどうでしょうか。そのなかで、自分の歩くペースを地図に書かれているコースタイムと見比べてみるといいと思います。予定よりも体力が落ちていたり、時間がかかってしまったら、楽しい時間を満喫して、山頂を目指さず途中で下山してもいいと思います。息が上がった時には、足を止めて、おやつを食べられるように、自分の体を労えるアイテムを、持っていくといいですよ。
ランドネ編集部:わかりました。山でバテてしまわないように少しずつ整えていきたいと思います。
栗田 :そうですね。運動不足で体がバテやすくなっていますし、発汗で体内のミネラルを失うと足が攣りやすくなります。また、水分不足は熱中症にもつながります。対策としては、こまめに休憩し、水分を補給したり、おやつやサプリメントでエネルギーやミネラルを補うのがいいと思います。
ランドネ編集部:なるほど。準備をしっかりして、山に臨みたいと思います。
栗田 :そして、計画にあたっては情報集めも大切です。まず山のある自治体が、他県からの来訪を受け入れているかを調べましょう。経由地や自分たちが暮らす地域の行政からの要請も確認してください。
それに、しばらく登山者が入っていないあいだに、登山道が荒れたり、トレースが消えてしまったりしているところもあるはずです。積極的に、ふもとの自治体や観光案内所などのホームページをのぞいてみてください。山行記録サイトの投稿をチェックする際は、その日付にも注目し、直近の情報を確認しましょう。
駐車場が閉鎖されていたり、ロープウェイが動いていないケースもあります。売店や山小屋が休業しているところも今年は多いようですので、慎重に調べてみてくださいね。
ランドネ編集部:栗田さん、3日間にわたるアドバイスありがとうございました。記事を読んでくださった読者の方々にも、お礼を申し上げます。
登山活動の再開にあたってのガイドラインについて、山岳団体や各メディアから複数の発信があります。
計画時にはそれらや行政からの最新のメッセージ、登山道の情報を積極的にチェックすることが大切です。
そして、SNSや山行記録サイトを利用しながら、あたらしい山登りのスタイルについて情報をシェアし合い、スロースタートで楽しんでいきませんか。
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
提供元・FUNQ/ランドネ
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