コロナピークはマッターホルン型か富士山型か?どうでもいい議論だ! 他国のコロナ感染症陽性者数を見ると、ピークのパターンは、急増急減でマッターホルンのように急峻だが、日本はダラダラと増加して緩やかに減る富士山型になるのでは?とのような議論がされている。
日本では急峻な増加があってもそれを見ることができないのが現実だと思う。そもそも、PCR検査数が十分でないので、検査数そのものが律速段階となっている。現に、東京都では1月下旬から2月上旬に明らかに検査体制が限界に達していると思われる。
東京のPCR検査数のピークは1月24日の35万件であり、10日間ほど30万件強で推移した後、2月7日以降検査数は急減している。2月3日の検査件数は約32,000件であったが、2月10日には約16,000件となり、半減している。十分な検査ができていなかったと思われるこの約2週間は陽性者が十分に把握できていない可能性がある。明らかに、検査件数は2月の初旬には明らかにピークアウトしているのである。感染者数のピークはマッターホルン型であっても、峰の近辺には厚い雲がかかっていて、見えなくしてしまっているだけではないのか?
ただし、沖縄県や広島県では下げ止まりの傾向があり、オミクロン亜株(BA.2)の広がりが懸念される。現在の対策が実効再生産数を0.8程度に下げる効力があっても、オミクロン亜株がオミクロン株(BA.1)の1.3倍の感染力を持っていれば、0.8X1.3=1.04となるので、再び増加傾向になる可能性は否定できない。 両県の下げ止まりは、すでに、従来のオミクロン株にオミクロン亜株が置き換わりつつあることを反映しているかもしれない。ゲノム解析を含め、要注意だ。
もう一つの懸念は、軽症感染者が検査を受けない行動に出ることだ。発熱やのどの痛みがあっても、コロナ感染症となれば、入院やホテル療養・自主隔離となるので、検査を受けることを回避する可能性がある。自分で濃厚接触者に連絡しなればならないことや隔離期間中の食事の確保が難しい状況が伝えられているので、自宅で2-3日休むという行動をとる方が簡単である。濃厚接触者の自主隔離期間が7日間まで短縮されたが、感染しても大半が無症状や軽症と周知されている現状や日々の生活を考えるとどの程度管理されているのか疑問だ。そして、最大の疑問はこのオミクロンに対して2類の分類が妥当かどうかだ。
さらに、メディアは連日死者が100人以上と騒いでいるが、日本で65歳以上の高齢者が肺炎で命を落とす数は年間10万人を超えている。1日約300人だ。もちろん、ウイルス性の肺炎はその一部に過ぎないが、インフルエンザによる死亡者数を考えても、メディアが騒ぎ立てるような数字ではない。ましてや、がんで命を落とす人は、1日約1000人である。この国はどこかおかしい。
文・中村 祐輔
文・中村 祐輔/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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