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Arc’teryx(アークテリクス)とは?
過酷なフィールドテストで生まれるアークテリクス製品の魅力
アークテリクスは、その革新的なデザインについて語られることが多く、おしゃれなアパレルブランドのイメージがありますよね。しかし、アークテリクスの魅力はファッション性だけではありません。
実は、アークテリクス製品はカナダのブリティッシュコロンビア州の山々で生み出された、本物のアウトドアギアなのです。
その中でもリュックの注目度が高く、1999年に発売された「アロー22」はベストセラーモデルで日本でも人気を博し、セレクトショップ大手のBEAMS(ビームス)やスポーツ用品店のOSHMAN’S(オッシュマンズ)から別注モデルが発売されています。
ここでは、アークテリクスの魅力と、その中から人気のリュックを用途別にご紹介しましょう。
Arc’teryx(アークテリクス)とは?
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アークテリクスは、1989年にカナダのブリティッシュコロンビア州、ノースバンクーバーで創立したアウトドア用品メーカーです。創業者のDave Lane(デイブ・レーン)とJeremy Guard(ジェミー・ガード)はクライマーであり、クライミングハーネス(安全装置)を開発するため、アークテリクスの前身、Rock Solid(ロック・ソリッド)社を設立したのが始まりです。ロック・ソリッド社のクライミングハーネスはクライマーからの支持を集め、それ以外の製品開発にも乗り出し、アークテリクスブランドが誕生しました。
余談ですが、アークテリクスのブランド名は最古の鳥類、始祖鳥の学術名「Archaeopteryx(アーケオプテリックス)」に由来し、ブランドロゴはその化石「ベルリン標本」をモチーフにしたものです。
冒頭でも述べたように、日本でアークテリクスといえばファッションアパレルメーカーというイメージがあります。しかし、アークテリクス製品は「外部の状況に関わらずアクションに集中できること」を目標に、過酷なフィールドテストを経て開発された本物の道具なのです。
過酷なフィールドテストで生まれるアークテリクス製品の魅力
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アークテリクス製品の優れたデザインや機能は、コースト山脈でのフィールドテストから生み出されます。
コースト山脈が最高峰の品質を生み出す
The only way to build the right gear for this environment was to build the company in this environment. (環境に適したギアを構築する唯一の方法は、その場に会社を設立することでした)引用:Arc’teryx
アークテリクスはこのような考えのもと、カナダのブリティッシュコロンビア州、ノースバンクーバーに設立されました。まずは、ブリティッシュコロンビア州とコースト山脈についてご説明しましょう。
ブリティッシュコロンビア州はカナダの太平洋側に位置します。州のうちの64%は森林地帯であり、カナダに生息する鳥類と哺乳類のうちの、75%の種が生息していいます。また、ノースバンクーバーの年間の降水日数は178日、とカナダでも有数の多雨地帯でもあります。さらに、ブリティッシュ・コロンビア州はカナダで最も山の多い州であり、北西から南東に向けて、ロッキー山脈、セルカーク山脈、コースト山脈が並走しています。
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ノースバンクーバーは、並走する山脈の一つ「コースト山脈」の入り口である「ノースショア山脈」の麓にあり、ハイキングやスキー、マウンテンバイクのメッカとして知られています。森林地帯でありがなら、登山口は高速道路のすぐそばにあり、アクセスは良好です。そのため、軽装での観光客の姿も見られ、この地域の救助隊は世界で最も忙しいとい言われています。
コースト山脈には3000〜4000m級のピークが連なり、最高峰のウォディントン山の標高は4019mを誇り、 標高1500m以上の前人未到のピークが25も残されているのです。コースト山脈は、多雨地帯特有の温暖な熱帯雨林と、氷に覆われた世界の両方を併せ持ています。
特筆すべき点は、そのような環境に、アークテリクス社から1時間とかからずにアクセスできることです。
商品企画室である「デザインセンター」で開発された新たなギアは、コースト山脈で納得のいくまでフィールドテストを重ね、課題を克服していきます。これがもし、フィールドテスト場までのアクセスに8時間以上かかるとしたら、どうでしょうか? フィールドテストの完成度が下がることは想像に難くありません。
I don’t think Arc’teryx could have been created anywhere else.(この地以外でアークテリクスが誕生することはなかったと思います)ーーDAN GREEN デザイン部門バイスプレジデント 引用:Arc’teryx
ブリティッシュコロンビア州は、他に類を見ないほど、アウトドア製品の開発に適した土地なのです。
人の手による製品づくりと環境への配慮
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アークテリクス製品のインスピレーションや、よりよく改善するための課題はフィールドテストで生まれますが、それらのアイデアを具現化するのが「デザインセンター」であり、本社工場の「ARC’ONE」です。
デザインセンターは、名前こそ”デザイン”という言葉が使われていますが、決して”オフィス”ではありません。製造ツール、作業場、色彩実験など、すべてのツールがそろっている研究所であり”作業場”なのです。
アークテリクスの商品開発は、優れた製品を開発するためデザインセンターとコースト山脈で徹底的に試行錯誤を繰り返し、それは3年以上に及ぶことも珍しくありません。試作品は、デザイナー自身やアウトドアのエキスパートがテストし、そこで浮上した問題の解決方法を追求します。
さらに、デザインセンターとARC’ONEが連携することで革新的な技術を創り出し、商品の生産に活かされています。生産工場はARC’ONE以外にも、世界に20の施設を有しています。
既製品と聞くと、多くの人は機械で自動生産されていると考えることでしょう。しかし、アークテリクスの製品は人の手によって作られているのです。
例えば、アークテリクスの代表的レインウエア「アルファSVジャケット」を製作するのは190の工程があります。縫製、テープ貼り付け、プレスなどのさまざまな工程は、67人の職人による手作業によって仕上げられているのです。
アークテリクスの今後の目標は、サスティナビリティ(持続可能性)、環境への負担をかけることなく製品づくりを続けることです。製品へ優れた耐久性を持たせ、環境に配慮した素材を選ぶ。そして、将来的には製品寿命が訪れた製品を回収し、素材として循環させる循環型経済へシフトしたいとしています。
アウトドアウエア・ギアを生産するメーカーとして、地球環境にも目を向ける。その企業精神から、アークテリクスはより一層魅力的なメーカーとして世界に認知されることでしょう。