減点式にするとすべての人は0点である

だが、何事もいきすぎは毒になる。つまり、あまりに減点式に傾倒する人物の行く先は、一切の人間関係が構築できない究極の孤独が待ち受けているのだ。

筆者はかつて、それに該当するような人物に出会ったことがある。ある有名人のファンだといっていた男性の口癖は「でも」であった。有名人の高い能力を絶賛しつつも、「でもあの人は性格が良くない」とか「何かと粗がある」とか「口癖が耳障り」など、1つを褒めれば、必ず3つはけなすという具合であった。本当にファンなのか疑わしくなってしまうが、「いや、別にすごい悪い人と言っているわけではないよ」などと返ってくるからますますわからなくなる。

そしてこの男性の人間関係構築術は、あらゆる場面で発揮された。教師や市販のテキストにもケチを付け続け、職場の上司や友達など「これはダメ」「あれは気に入らない」と言い続けていたのだ。さすがにこれはと思い、やんわりと指摘したことがあったが過剰に反応されてしまい、距離を取られてしまった。その人物は今は仕事もやめ、誰とも会わずにひっそりと自宅で過ごしていると人伝いに聞いている。

減点式で人を見る人が悪とは考えない。だが、いきすぎは推奨されない。減点式原理主義者にかかると、すべての人間は0点になるからだ。完璧な人間は世の中に一人たりとも存在しない。究極の孤独を望むなら止めはしないが、本人がそのような状態を望んでいるかは留意する必要があるだろう。

プラスマイナス→プラスならいいのでは?

人の好みは様々であるため、その人のプラスはある人からはマイナスになるし、その逆も然りだ。結局、すべての人はプラスもマイナスの要素も等しく有している。誰しも欠点はあるのだから、究極的にはその人にとってプラスが大きいなら人間関係を持つのがアリだと考えている。その逆に付き合ってマイナス面の方が大きいなら、距離を取るのが解だろう。

色々と述べてきたが、減点式のタイプの人も他人から見れば100点満点ではないのだから、相手を評する際にはネガティビティバイアスをややマイルドにする意識を持つことで、良好な人間関係の構築につながるのではないだろうか。

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(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
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文・黒坂岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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