満開の桜を鑑賞し、名湯に浸かる至福体験。くじゅう連山の麓にある大分県竹田市直入町に、新たな桜の名所「長湯温泉しだれ桜の里」がグランドオープンした。

一人の男性の熱い思いがきっかけ
「長湯温泉しだれ桜の里」の誕生は、一人の男性の熱い思いがきっかけだった。
大分市佐賀関在住の元会社役員安部博進氏は、旅行で訪れた京都のしだれ桜やモミジに魅せられ、「いつか自分でしだれ桜の公園を造りたい」と思っていた。

ある日、竹田市を訪れた際に「くじゅう連山の麓にある長湯温泉こそ桜が映える」と感じた安部氏は、2006年に地元住民数人に声を掛けて、4年後NPO法人「しだれの里を創る会」を設立。山の斜面の民有地約10ヘクタールを無償で借り、会員約20人が手弁当で整備に乗り出した。
桜は専門家のアドバイスを受け品種を選定し、苗木の購入費用は、大分県の森林環境税や宝くじの助成金などを活用し、15年の月日を経てようやく完成にたどりついた。

6種の桜と花々とのコラボ
「長湯温泉しだれ桜の里」は、東京ドーム2個分の広大な敷地に6種類・2600本の桜が咲き誇る自然公園。
6種の桜は、花びらが鯛の色に似ている「大漁桜」、小ぶりで淡い紅色がかっている「小松乙女」、鮮やかな紅紫色で一重咲き、大輪の花を下向きに咲かせる「陽光桜」、濃紅色の小輪で八重咲きの花を枝いっぱいにつける「八重紅しだれ桜」、淡紅色の可愛らしい花色が特徴的な「思川桜」、花びらがたっぷり詰まって玉が大きい「牡丹桜」だ。

これらの桜の寿命は200年以上といわれている。安部氏は「これから先を見据えて、できるだけ長く桜を楽しんでほしい」との思いから、寿命が70年と言われる「染井吉野」の植樹はあえて見送ったそうだ。
6種の桜は、3月中旬から約1カ月半かけて順次満開となっていく。地元住民の提供による約2万本のスイセンや、菜の花、ツツジなど季節の花と桜とのコラボーレーションは心癒すものになりそうだ。桜の鑑賞期間中は、地元の屋台などの出店も並ぶ。
