ケースワーカーに必要な資格③:精神保健福祉士の概要
ケースワーカーとして、相談者の生活面の支援だけでなく精神面のサポートにも力を入れたい場合、「精神保健福祉士」の資格が役立ちます。国家資格のひとつなので専門家として名乗ることができ、相談者との信頼関係構築がしやすいのも特徴。精神保健福祉士の資格の概要を解説します。
精神保健福祉士の資格の内容

「精神保健福祉士」とは、精神保健福祉士法に基づいた国家資格のことです。精神面のサポートやケアに関する専門的な知識と技術を有し、精神障害者の社会復帰を目的とした相談に対して助言・指導・訓練・援助などを行います。精神保健福祉士になるには、「精神保健福祉士国家試験」に合格しなければなりません。
精神保健福祉士国家試験は年に1度、2日間に分けて実施されています。試験地は、北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県の計7都道府県です。出題範囲は広く、試験は17科目で構成されています。
精神保健福祉士の資格の難易度
精神保健福祉士国家試験の難易度はあまり高くありません。令和3年までに全23回実施されていますが、第19〜23回までの合格率を見ても、60%台と比較的高い数字を維持しています。
第23回の合格者の内訳では、保健福祉系大学等卒業者の合格の割合は36.0%。養成施設卒業者の割合は64.0%です。合格率を考慮するなら、養成施設でしっかりと学習してから試験に臨む方が最短で資格を取得しやすいでしょう。
精神保健福祉士の資格を受験するのに必要な費用
精神保健福祉士国家試験の受験料は、24,140円とやや高め。社会福祉士国家試験も受験する場合は、2つ合わせて36,360円の費用が必要です。
精神保健福祉士の資格を取得するための要件
精神保健福祉士国家試験には、4つの受験資格が設けられています。下記のうち、いずれかの条件を満たしていれば、試験を受けることが可能です。
- 4年制大学で指定科目を修めて卒業した方
- 2年制(又は3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(又は1年以上)相談援助の業務に従事した方
- 精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方
- 精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方
資格取得ルートとしては10通りが用意されています。短期大学の場合は卒業後に実務経験も積まなくてはならないので、最短で取得を目指すなら保健福祉系の4年制大学への進学がおすすめです。
一般の4年制大学や短期大学卒業後でも実務経験を積んだり、養成機関で1年以上勉強したりすれば受験資格を得られます。多くの方が取得を目指しやすいのは精神保健福祉士の特徴です。
ケースワーカーになるための資格を取得する年齢制限はあるの?
ケースワーカーとして必要な「社会福祉主事任用資格」の取得には、年齢制限は設けられていません。4年制大学もしくは短期大学にて3科目以上を履修するか、養成機関で指定科目を履修すれば、年齢を問わず任用資格を得られます。
ただし、任用資格の効力を発揮させるには、地方公務員として採用される必要がある点には注意が必要です。公務員採用試験は実施している自治体によって年齢制限が設けられています。せっかく任用資格を取得しても、任用されないと名乗ることができないので、資格を得るタイミングには注意をし、公務員試験の準備もしておきましょう。