現場、モノ、お金、情報の流れをすべて理解しているか?
次に必要になるのは業務視点です。実際に価値を生みだしているのは現場であり、そこで行われている業務を軸とした視点を持つことが求められます。たとえば、小売業であるならば、実際の接客、品出し、棚卸し、商品仕入れなどの業務を理解していなければいけません。また、これらを適正に機能させていくために、全体を通しての物の流れ、お金の流れ、情報の流れなどを理解していることが大切です。
しかし、多くの企業では部門ごとに役割が分けられ、自部門の業務のことは知っていても、他部門の業務はわからないといったことがあります。DX人材はそうした縦割りに横ぐしを通して、自らが事業責任者の視点を持ち、全体を俯瞰して経営方針に照らし合わせながら、業務改革をすることが求められます。
目的と手段の投資対効果を測る「システム責任者」としての視点
いまさら言うまでもありませんが、DXを実現するためにはITの活用が必須です。しかし、実際にITで何が実現できるのか、どれくらいの費用や時間が必要になるのかを理解しておかなければいけません。また、テクノロジーだけではなく、ITを構築する人々の作業や気持ちも理解しておくことが大切です。そこで必要なのが、3つめの「IT視点」です。
ITはDXを実現するための道具です。たとえば、“穴を掘る”という行為を考えてみると、花壇に花を植えるときにはスコップを使って穴を掘り、ビルを建てるときにはパワーショベルを使って穴を掘ります。このように、目的と道具のできることを理解しておくことは大切です。同時に、すでに稼働しているシステムにも配慮して、投資対効果を考えていくシステム責任者としての視点を持つことが求められます。
DX人材が経営/業務/ITという3つの視点を持つ必要があることがまずはご理解いただけたでしょうか。次回からは各々の視点、その視点の磨き方についてお話ししていきたいと思います。
筆者が代表を務める㈱デジタルシフトウェーブでは、無料マガジン「DXマガジン」を運営しています。DXの人材育成を通して企業の変革をめざす、というコンセプトのもと、DX実現のために「本当に役立つ情報」を提供。DXをめざす経営者、担当者に役立つノウハウが満載です。また、定期的に実施しているDX実践セミナーでは、各界の実践者の話を聞くことができます。
提供元・DCSオンライン
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