アップルが第3世代のiPhone SEを発売した。5G通信にも対応するiPhoneシリーズの入門機だ。本機を1週間ほど使って見えてきた良いところと、少し物足りなく感じるところをレポートしよう。

Touch IDを内蔵するホームボタンを継承した、『BCN+R』より引用)
片手持ち操作に最適なサイズ感。ホームボタンもやっぱり心地よい
新しいiPhone SEは第2世代機から4.7インチのRetinaディスプレイを継承した。本体は片手で手軽に操作できるほどスリムでコンパクトだ。重さは第2世代のiPhone SEよりも4gほど軽い144g。筆者はふだん203gのiPhone 13 Proを使っているので、久しぶりにiPhone SEに触れると、ジャケットやバッグのポケットからスムーズに出し入れできる感覚がとても心地よく感じた。電車やバスに立って乗りながらでも、iPhoneを片手で持ってニュースの動画をチェックしたり、音楽を聴くことが苦にならないこのサイズ感が“ちょうどいい”のだ。

フロント面ボトム側にはTouch IDによる指紋認証センサー内蔵のホームボタンもある。Touch IDを搭載するiPhone SEは指紋認証により、画面のロック解除やApple Payによる支払いがすばやくできる。
新しいiPhone SEの発売に頃合いを合わせて提供を開始したiOS 15.4以降から、Face IDを搭載するiPhoneの一部もマスクを着けたまま画面ロックの解除などができるようになった。でもやはり物理的なクリック感が得られるホームボタンとTouch IDの相性はすごく良い。操作がより直感的にできる。これから初めてのスマホとしてiPhoneを選ぶシニアの方に、今ならば新しいiPhone SEを筆者はすすめるだろう。

iOS 15.4以降からマスクを着けたまま画面ロックの解除ができるようになった、『BCN+R』より引用)
最新A15 Bionicチップ搭載でより賢く&バッテリが長持ち
iPhone SEはハイエンドモデルのiPhone 13シリーズと同じ最新世代のA15 Bionicチップを搭載した。その恩恵はスマホとしてさまざまな使い勝手の良さに表れる。特に第2世代のiPhone SEに比べて操作感が速くスムーズになった。アプリの立ち上がりから動作までレスポンスが機敏に感じられる。グラフィックスの緻密なゲームアプリの動作も引っかかりがなく滑らか。とても安定している。

もうひとつ、新しいiPhone SEは5G対応になったのにバッテリの持ちが第2世代のiPhone SEよりも改善されている。この点はA15 Bionicが駆動効率の良いチップであることにも起因する。
5G対応のiPhoneには、モバイルデータ通信時にバッテリの消費を抑えるスマートデータモードという機能がある。5G通信時には4Gに比べてより多くの情報を処理するため、一般にスマートフォンのバッテリーに高い負荷がかかるとされている。
iPhoneは設定から「モバイル通信」に入り、モバイル通信プランの「音声通話とデータ」から「5Gオート」を選ぶとスマートデータモードがオンになる。5Gエリア内で高速・大容量通信のメリットが得られていない場合に、自動的に4G LTE通信に切り替えてバッテリーの消費を抑えるのだが、この機能をA15 Bionicが賢く制御する。

ベストパフォーマンスを発揮できない場所で自動的に4G LTEに切り換えて消費電力を抑える、『BCN+R』より引用)
筆者もiPhone SEを1週間ほど使ってみて、バッテリの持ちの良さを実感した。試用を開始してから最初の数日間はあえて動画を見たり、時間をかけてゲームをプレイしてみた。就寝前に100%まで充電したバッテリが、起床頃には95%になり、そのまま使い続けて夜の22時ごろに残量20%前後を迎える。その後はいつも通りの使い方をしてみたところ、同じ夜の時間帯までもう少し多くバッテリが持ち堪えた。新しいiPhone SEは「1日じゅう持続するバッテリ性能を実現した」と言って良いだろう。