薄毛の進行を予防し、薄くなった毛髪を発毛させるAGA治療。治療そのものに興味はあっても、効果の有無や副作用が不安でクリニックを受診できずにいる方は多いのではないでしょうか?
「AGA治療は本当に髪が生えるの?」
「薬で副作用が起こらないかが心配」
「若ハゲへの効果が知りたい」
このような不安や疑問を解消するため、この記事ではAGA治療の効果や副作用、若ハゲ改善についてわかりやすく解説していきます。
【この記事の監修者】
前田 祐助先生
AGAメディカルケアクリニック 統括院長
【経歴】
慶應義塾大学医学部医学研究科卒業
慶應義塾大学病院初期臨床研修課程修了
大手AGAクリニック(院長)を経て、2018年AGAメディカルケアクリニック新宿院を開設
目次
AGA治療薬の効果が実感できるまでの期間
AGA治療薬の効果と副作用
AGA治療薬の効果が実感できるまでの期間
AGA治療を受けた患者様の多くが、治療開始から6ヶ月ほどでお薬の効果を実感されています。効果が実感できるまでの期間には個人差があり、早ければ3ヶ月ころから毛髪の変化を実感される患者様もいます。
発毛するまでに数ヶ月かかると知って、「長い」「もっと早く効果を出したい」と思った方もいるでしょう。AGA治療はなぜ時間がかかるのか、その理由を知っていただくためにまずは「ヘアサイクル」のお話をしていきます。
ヘアサイクルについて
私たちヒトの髪には1本1本に寿命があります。男性は3〜5年、女性なら4〜6年ほど成長を続けたのち、自然と抜け落ちます。その後数ヶ月ほどで新しい髪が生えはじめ、再び成長を続けてまた抜ける。
このように髪が成長と脱毛(退行)を繰り返すことを「ヘアサイクル」といいます。
先ほど男性は3〜5年かけて髪が成長するとお伝えしましたが、AGAを発症している男性はこの期間が大幅に短縮されます。AGAが重症化していると髪の成長期が1年と続かず、髪が太くなる前に次々と抜け落ちてしまうのです。
AGA治療では、この乱れたヘアサイクルを正常化することを第一に考えます。ヘアサイクルを元に戻すには平均で3〜6ヶ月ほどかかるため、AGA治療の効果を実感できるまでにもある程度時間がかかるというわけです。
ちなみに、AGA発症後すぐに治療をはじめた方は効果を実感できるまでの期間が短い傾向にあります。反対に、重症化してから治療をはじめた方は毛髪に変化が見られるまで1年ほどかかるケースも多いです。このことから、AGAは早期の治療開始がいかに重要かがわかりますね。
なぜAGA治療は続ける必要があるのか
AGA治療は、一度発毛したからといって治療を中止すると再び薄毛になる可能性が極めて高いです。これはAGAが進行性の脱毛症であることが大きな理由で、発毛効果を持続させるにはお薬の服用を継続しなければいけません。
ただし、満足のいく状態まで毛量が回復すれば、その後はお薬の量や種類を変えることで状態を維持することは可能です。減薬すると経済的な負担も軽減されます。
「一生続ける必要があるか?」というご質問もいただきますが、基本的には患者様のご判断にお任せしています。60歳を過ぎて治療を続けている方は大勢いますし、年齢とともに薄毛が気にならなくなり治療をやめたという方もいます。
クリニックが治療を強制することはありませんので、いつまで続けるか迷う時は医師まで相談してみるのがいいでしょう。
AGA治療薬の効果と副作用
AGA治療では、内服薬や外用薬を用いた投薬治療を行うのが一般的です。
お薬の種類には、
- プロペシア(フィナステリド)
- ザガーロ(デュタステリド)
- ミノキシジル
などがあり、症状やAGAの進行レベルに合わせて医師が処方します。ここからは、それぞれのお薬の効果と副作用について解説していきます。
プロペシア(フィナステリド)による効果と副作用
先発医薬品としての名称 | プロペシア(ジェネリック医薬品としての名称はフィナステリド「◯◯*」) |
成分名 | フィナステリド |
効果効能 | Ⅱ型5αリダクターゼを阻害し薄毛を予防 |
副作用 | 性欲減退、肝機能障害 |
副作用が起こる確率 | 約0.1% |
*には製造メーカー名が入る。
プロペシアは、AGA発症のきっかけをつくる「5αリダクターゼ」という還元酵素の働きを阻害し、薄毛の進行を抑制するお薬です。
5αリダクターゼはどんな人の身体にも存在するもので、それ自体が毛髪に悪影響を及ぼすものではありません。AGA発症のきっかけになるのは、男性ホルモンの一種であるテストステロンと結合し、悪玉ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)に変換された時です。
DHTが頭皮にある男性ホルモンレセプター(受容体)にキャッチされると、薄毛の直接的な原因となる脱毛因子(TGF-β)が生成されます。TGF-βが増えれば増えるほど抜け毛は増加し、そのせいで薄毛が進行してしまうのです。
プロペシアは、この一連の流れの発端となる5αリダクターゼのはたらきそのものを阻害します。プロペシアを服用することで抜け毛が増えにくくなるので、これ以上AGAを進行させないよう予防の目的で処方されます。
起こりうる副作用としては性欲減退や肝機能障害などがありますが、これらの副作用が発現する確率は0.1%と非常に低い数字です仮に副作用が出たとしても、お薬の服用を中止すれば症状はなくなりますので過剰に心配する必要はありません。
ザガーロ(デュタステリド)による効果と副作用
薬の名称 | ザガーロ(ジェネリック医薬品としての名称はデュタステリド「◯◯*」) |
成分名 | デュタステリド |
効果効能 | Ⅰ型Ⅱ型5αリダクターゼを阻害し薄毛を予防、毛髪の増加 |
副作用 | 性欲減退、肝機能障害、倦怠感、食欲不振 |
副作用が起こる確率 | 約1% |
*には製造メーカー名が入る。
ザガーロは、プロペシアと同様5αリダクターゼの阻害効果のあるお薬です。
5αリダクターゼは分布する部位によってⅠ型とⅡ型に分けられ、ザガーロは両方の型に作用します。(プロペシアはⅡ型のみ)また、毛髪量を増加させ1本1本の髪を太く長く成長させることもでき、プロペシアよりも強力な効果が期待できます。
主な副作用には性欲減退や肝機能障害、倦怠感などがあり、発現の可能性は約1%です。肝臓に持病がある場合は服用が制限されることがあるので、クリニックを受診する際は医師への相談が必要です。
ミノキシジルによる効果と副作用
薬の名称 | ミノキシジル |
成分名 | ミノキシジル |
効果効能 | 髪の成長因子の産生を促進、血管拡張作用による血行促進 |
副作用 | 内服薬:立ちくらみ、めまい、多毛症、動悸 外用薬:かゆみ、かぶれ |
副作用が起こる確率 | 約8% |
ミノキシジルは、髪の成長因子の産生やヘアサイクルの正常化に関わる細胞を増殖させて発毛を促すお薬です。
頭皮に直接塗布することで髪の細胞分裂が活性化し、1本1本の髪を太く長く発毛させます。また、頭皮の血管拡張作用によって血流が改善するので、髪の成長に必要な栄養や酸素が届きやすくなります。
外用薬ではかゆみやかぶれ、内服薬では立ちくらみや動悸などの副作用が報告されていて、発現の確率は約8%です。副作用が生じた場合はすぐに使用を中断してください。医師に相談することでお薬の量を減らす、または種類を変えるなど効果を継続させる治療法を提案してもらえます。